仮想通貨同士の分散投資はリスク軽減にはならない!?
新たな投資先として国内外で話題を集めている「仮想通貨」ですが、その種類は2,000を超えています(2018年10月現在)。
今回は、「仮想通貨市場内での分散投資はリスク回避になるか?」という点に注目して解説します。
投資の格言で、「卵は一つのカゴに盛るな」というものがあります。欧米で古くから伝わる「Don't put all your eggs in one basket.」という言葉を日本語に訳したものです。
これは「卵を一つのカゴに盛ると、もしもカゴを落としてしまったとき、すべての卵が割れてしまう」ので「複数のカゴに盛れ」、つまり「分散投資をしなさい」という趣旨の格言です。
インデックスファンドやロボアドバイザーなど、投資先を分散することでリスクを軽減しつつ資産形成を狙う金融商品・サービスは数多くあります。
この格言に従い、仮想通貨の投資先をビットコイン、イーサリアム、ネム・・・と分散させることで、リスクは軽減できるでしょうか。
結論から申し上げて、仮想通貨の銘柄に分散投資することは、損失リスクを軽減する目的では大きな効果はないと思います。
現状、多くの仮想通貨取引所で取り扱われている仮想通貨にはビットコインとのペアが存在します。仮想通貨取引の大部分にビットコインが介在することで、BTCは事実上の「基軸通貨」となっています。
ビットコイン自体、各国政府の規制やETFへの期待などで価格が大きく変動しますが、ビットコインが基軸通貨としてあることで、アルトコインの価格もビットコインに「つられる」現象が起きるわけです。時間差や騰落率の差はありますが、「ビットコインの価格が上がれば、アルトコインの価格も上がる」「ビットコインが下がれば、アルトコインも下がる」という傾向があるのは過去のデータからも明らかです。
つまり、仮想通貨を分散保有していたところで、ビットコインの価格が大きく下がれば、保有しているアルトコインの価格も連動して下がることが予測されるのです。
複数銘柄を保有することで、「チャンス」を逃さない
では、仮想通貨の分散投資は全くの無意味なのでしょうか。筆者は、そうは思いません。
筆者自身、仮想通貨を複数の銘柄保有していますが、これはリスクの軽減よりもチャンスを逃さないためです。上げ相場でファンダメンタルズの材料となるポジティブなニュースが出たときや、通称「イナゴ」と呼ばれる、暴騰した通貨にさらに後乗りして買いを入れる人が多数出た場合、仮想通貨は一日で数倍、数十倍といった爆発的な価格上昇を過去に見せてきました。
常時市場を監視し、初動に気付いた瞬間すぐに買いを入れられる方ならば不要かもしれませんが、そうでない場合は、複数の通貨を持っておくことで複数のチャンスも得られます。「価格が急上昇する将来」を期待した銘柄を保持しておくのも、仮想通貨投資の楽しみ方であると思います。
ニルス
サイト制作、WEB広告、画像編集などを含む何でも屋事務員として働くサラリーマン