税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
日本居住者向けサービスの停止は金融庁の要請か?
ノアコイン、スピンドル、パトロンなど、多くのアルトコインを取り扱い、日本の仮想通貨投資家にも利用者も多かった大手仮想通貨取引所のHitBTCが、2018年6月3日、公式ブログの「HitBTC is preparing to launch a regulated subsidiary in Japan」で、日本居住者向けサービスを停止することを明らかにしました(現在、HitBTCは日本で規制を受けた子会社立ち上げの準備中です)。
今回は、この背景や影響、日本人が海外から仮想通貨投資をする意義について考察してみましょう。
HitBTCによると、
「The company has been in consultation with the regulator and decided to suspend its operations for Japanese residents to comply with current regulation. The measure has been taken in response to recent regulatory changes by the Japanese Financial Services Agency (FSA), and will apply only to those living in the country.」
(弊社は規制当局と折衝してきましたが、現行規制に従うため日本居住者向けの事業を停止することを決定しました。この措置は、日本の金融庁の最近の規制変更に対応するためのものであり、日本に住んでいる人に対してのみ適用されます。)
とのことです。
ここで、「recent regulatory changes」(最近の規制変更)というのが、気になりますが、一体何を指しているのでしょうか?
昨年の2017年は資金決済法が改正され、仮想通貨交換業が規制されるようになりましたが、その後は、規制が明確に変更されたということは無いはずです。金融庁は、仮想通貨関係の情報をまとめたページをウェブサイト上に作っていますが、そのページにも、近時の規制変更は記載されていません。
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問題になるのは「国境を超えて取引が行われる」場合
仮想通貨交換業(資金決済法2条7項)を営む場合は同法上の登録が必要であり、無登録のままでは違法です。
一方、海外の仮想通貨販売業者が、物理的に海外にいる顧客に対して仮想通貨の販売を行う場合、その行為は完全に「日本の領土の外」で行われています。日本の領土の外では日本法が適用されませんから、日本の規制で違法と判断されることはありません。
ここまでは明確です。
問題になるのは、取引が国境を超えて行われる場合、つまり、業者は日本の外(例えば、香港)にあり、顧客が日本居住者の場合でしょう。
取引が国境を超える場合についても、まったく法律に記載されていないわけではありません。資金決済法63条の22は、海外の仮想通貨販売業者が日本国内にある者に対して仮想通貨の販売勧誘を行うことを禁止しています(なお、どのような行為が「勧誘」に当たるかについては、金融庁の事務ガイドラインに記載されています。「Ⅱ-4-2 外国仮想通貨交換業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引」を参照)。
金融庁は、Binance、Block Chain Laboratoryに対して警告を発しましたが、これは、日本国内にある者に対して仮想通貨の販売勧誘を行ったから、ということでしょう(BinanceやBlock Chain Laboratoryは、インターネットを利用したクロスボーダー取引にとどまらず、日本国内で物理的に活動していたように見えますが・・・)。
こうした規制は従来からあったのですが、2018年3月頃以降、警告を発するなど、実際に取り締まろうとする方向に、金融庁が動いているように見えます。
これらのことから、最近規制(法令)が厳しくなったということはないが、金融庁の運用は厳しくなった、と言えるように思います。
日本非居住者になるという選択肢も!?
このように、海外の仮想通貨交換業者であっても、日本居住者と取引をする場合には、日本の規制に縛られ、取引がほとんどできないことになっています。
しかし、この規制は「日本人」についてのものではなく、「日本居住者」についてのものです。
つまり、「日本人」であっても「日本非居住者」であれば、海外の仮想通貨交換業者を利用することはできるわけです。
アルトコインに投資している投資家にとっては、様々なコインを扱う海外の仮想通貨取引所を利用していることが多いと思います。日本非居住者になるという道も検討してみてはいかがでしょうか。
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