自由度の高い金融市場で知られる香港ですが、仮想通貨はどのように取引されているのでしょうか。本連載では、香港における仮想通貨の取引の現状や規制を解説するとともに、香港の現地情報についてもご紹介します。今回は、仮想通貨取引による所得の分離課税化の可能性について、麻生財務大臣の見解から考察します。※本連載は、小峰孝史が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

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最高税率55%の現行税制に「高すぎる」との声

現在、仮想通貨の取引によって得た所得は、「雑所得」(最高税率55%)とされています。しかし、この現行税制に対しては、仮想通貨の事業者や投資家から、「55%では税金が高すぎる」「(FXによる所得と同じように)分離課税にすべきだ」と主張されていることは、よく知られています。

 

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この仮想通貨の収益を申告分離課税にすべきという点について、2018年(平成30年)6月25日の参議院予算委員会で、日本維新の会の藤巻健史委員が質問し、麻生太郎財務大臣が回答しました。

 

藤巻議員は、仮想通貨の税制を改正し、ブロックチェーン産業を後押しするよう主張しましたが、麻生大臣は、国際的にも仮想通貨の位置づけが不透明なことを指摘したうえで、税の公平性などの観点から、税率が一律20%程度となる分離課税とすることに「国民の理解が得られるのか」と疑問を呈しました。

 

以下は、藤巻議員の質問の概要です。

 

■今後の日本がどのような産業で食べていくのかという点から考えていくと、規制によって、国の成長産業を妨げてはならないと考える。

 

■今一番の関心ごとは、インターネット革命の次の成長産業であるブロックチェーンだ。例えば公文書の改ざんの問題があるが、消去される可能性もあるので完璧ではない。ブロックチェーンであれば、改ざん自体ができず、さまざまな問題を解決することができる。

 

■このブロックチェーンの発展と表裏一体の関係にあるのが、仮想通貨だ。

 

■ブロックチェーン技術は推進するが、仮想通貨は規制をかけるとなると、世界に遅れを取ってしまう可能性がある。

 

■ブロックチェーンと仮想通貨を一体となって発展させるために、現状のままだと、税制が足を引っ張りかねない。

 

■仮想通貨が区分される雑所得の扱いでは、他の給料や不動産収入などと損益通算できず、翌年繰り越しもできない。儲かればごっそり税金を持って行かれて、大損した場合は補填がないというのは、(最大税率55%となる総合課税の金融商品として)不適切ではないか。

 

■税務当局の考える税の論理からいくと納得できる部分もあるが、しかし、日本の未来を築くブロックチェーンについては、税制で日本の未来を妨げるようなことがあってはならない。

 

「収益の申告分離課税化」に消極的な姿勢を見せた大臣

麻生大臣は、仮想通貨の税制を緩和することに消極的な姿勢を示しています。以下は、麻生大臣の答弁の概要です。

 

■20%の分離課税にすべきという点について述べると、会社の給料や事業所得などで大金を稼いだ方は、最大55%の税率が掛かる一方、仮想通貨投資の利益は20%の税率で良いというのは、国民の理解が得られず、世間で通用しないのではないか。

 

■また株や債券と異なり、資産運用の一つとして、国が仮想通貨を推奨するほど、国際社会での信用が得られていない。

 

■ブロックチェーン技術は仮想通貨以外にも使えるから、ブロックチェーン技術を育成していくために仮想通貨の購入や利用を後押しする必要があるという点に、問題がある。

 

■日本が遅れているという指摘であるが、おそらく日本が一番進んでいるのではないか。慎重な対応をしつつ、ブロックチェーンの育成をしていくべきだ。

 

上記の麻生大臣の答弁を聞く限り、仮想通貨収益の分離課税化は、すぐには期待できないようにも思えます。しかし、さすがに最高55%という税率は高いと感じる方も多いのではないでしょうか。仮想通貨投資家の収益にかかる税率を合法的に下げる方法はないか、考察する必要があるでしょう。

 

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