極薄の金属膜をコーティングし、遮熱・断熱効果をUP
ここまでRC造住宅+遮熱材が快適な住まいの条件だと紹介しました。では、住まいのなかで熱移動が最も大きい場所はどこでしょうか。それは、壁面や屋根ではなく窓です。
大手サッシメーカーのYKKAP株式会社の資料によると、夏期に住まいに流入する熱量の74%は窓からのものとされています。その他の熱流入は外壁12%、天井・屋根6%、換気5%、床3%に過ぎません。同じく冬期に家から出ていく熱の52%は窓経由です。その他は外壁19%、換気15%、床9%、天井・屋根5%となっています。夏・冬ともに熱の大半は窓から出入りしているのです。
そのため窓からの熱移動を防ぐ方法として、複層ガラス(ペアガラス)や二重窓を導入するケースが増えています。ペアガラスは2枚のガラスの間に中空層を設けたもので、空気層により断熱効果を発揮します。より遮熱・断熱効果が高いものとして、最近では極薄の金属膜をガラスにコーティングしたLow-Eガラスを利用することが多く、2015年の実績では新築一戸建て住宅の73.8%に導入されています(板硝子協会調べ)。
Low-Eガラスには主に二つの種類があります。
●断熱型
屋内側ガラスに金属膜コーティングを施したもので、主に冬期、室内の暖房熱が輻射によって外に逃げるのを防ぎます。北海道や東北、北陸などの寒冷地でよく利用されています。
●遮熱型
屋外側ガラスの内側に金属膜コーティングを施したもので、主に夏期、外から太陽熱が入るのを防ぐはたらきがあります。寒冷地以外でよく利用されます。
Low-Eガラスには熱の移動を抑える以外に、紫外線をカットする効果もありますから、室内にある家具などが劣化したり色あせしたりするのを防ぐこともできます。
RC造と熱コントロールで快適で健康的な住居を実現
二重窓は外気に触れる窓の内側にもう一組窓を設けるもので、もともとは寒冷地で多く利用されてきました。窓と窓の間にできる空気層が高い断熱性能を発揮するため、最近では省エネ目的で全国的に導入するケースが増えています。
こうして、RC造の持つコンクリートの特性を活かしながら総合的に熱をコントロールすることで、一年を通じて快適な室温で暮らせるだけでなく、結露によるカビ、ダニの発生防止、寒暖差による健康被害の防止、そして光熱費の削減といった、さまざまな住環境でのメリットが得られるのです。
今回までのまとめ
●RC造は最も断熱性・気密性が高い
●外遮熱を加えると、さらに外気温の影響を受けにくい
●外遮熱により気密性の高いRC造でも結露を抑えることができる