前回は、建築費だけで「RC造住宅」のコストを判断してはいけない理由を取り上げました。今回は、入居後の維持費の面から「RC造住宅」のメリットを見ていきます。

外壁の塗り替えは「25年程度に一度」でも問題なし!?

住まいを持つとなると、住宅の建築費用に加え維持費が必要です。住宅の維持費としては以下のようなものがありますが、それらを含め総合的に判断すれば、RC造のほうが「お買い得」といえます。

 

●メンテナンス費用・リフォーム費用

 

通常、木造住宅の外壁は10〜15年サイクルで補修が必要とされます。一方、RC造住宅は建築時にしっかりとコーティングをしておけば、外壁の塗り替えは25年程度に一度でも問題ありません。例えば50年暮らす場合、木造であれば最大5回行うメンテナンスが2回で済むわけです。

 

また、地域によってはシロアリの駆除が欠かせませんし(こちらは5年が目安とされています)、前述のように、RC造に比べると震災や火災によって大規模な修繕が必要となるケースも考えられます。

 

このように耐久性が高いRC造住宅は、長期的に考えるとメンテナンス・リフォーム費用を抑えられる傾向があります。

 

●火災保険料

 

建物の耐火性能は火災からの被害を抑えるだけでなく、火災保険料の節約にも役立ちます。住宅ローンを組む際には金融機関から火災保険への加入が求められますが、火災に強いRC造は保険料を低く抑えることができるのです。

 

火災保険料は住宅の構造や種類を主な基準として「M構造」「T構造」「H構造」の構造級に分類したうえで、決定されます(図表参照)。このうち「M構造」はマンションにのみ適用されるカテゴリです。そして戸建て住宅のうち耐火性能が高いと認められるものは「T構造」、それ以外は「H構造」となります。耐火性能の分類には住まいの工法が大きく関連しており、RC造の場合には無条件で高性能な「T構造」に分類されます。

 

[図表]構造級別の保険料

 

 

火災保険料では「構造級」以外にも地域のリスクなどが加味されますが、住み続ける限り支払い続けるものなので長期的に見ると負担に大きな差が現れます。一般的にRC造の火災保険料は木造の半額程度とされていますから、年間4万円程度の違いであっても、30年、40年暮らせば120万〜160万円の差額が生じるのです。

外気温の影響を受けにくいため、光熱費の節約が可能

●光熱費

 

RC造の住まいは断熱性と気密性に優れているため、冷暖房費を抑えることができます。エアコンの使用を抑えても夏涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。外気温の影響を受けにくいので、光熱費の節約が可能であり、長く住むなかではコストに大きな差が現れます。

 

建築費はライフサイクルコストの15〜20%といわれます。条件により異なりますが、ライフサイクルコストで比較すると、RC造が他の工法と同等となる、あるいは下回る可能性は小さくありません。耐震・耐火性能や快適さといった要素も加味すれば、さらにRC造のメリットは大きくなります。

 

今回までのまとめ

●RC造住宅は耐震性が最も高い

●RC造住宅は耐火性能が高いため、火災保険料が最も低い

●RC造住宅は資産価値が残りやすいため、築古になっても高額で売却できる

●RC造住宅は建築コストが高いが、光熱費が節約できるため、ライフサイクルコストはむしろ小さく抑えられる

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