遮熱塗装は、費用対効果の面でも疑問符が・・・
建物の遮熱というと、最近では遮熱塗装の宣伝をよく見かけます。大手塗料メーカーなどからも提供されていますが、実際の効果については疑問符がつきます。メーカーのホームページなどを見ると、遮熱塗装には主に赤外線を反射する効果があると謳うたわれています。一般的な塗料の反射率は20〜30%なのに対し、遮熱塗料は60〜80%を反射するとメーカーは解説しています。
私の会社では、実際の効果を確認しようと遮熱塗装した鋼板を電気ストーブで温めたことがあります。ところが某メーカーの塗料では、鋼板の表面(塗装した側)は確かに熱くならなかったのですが、裏側は触れられないほどの高温になっていたのです。
住まいに当てはめると裏側は屋内になりますから、屋根や壁への遮熱塗装では、表面は確かに熱くならないものの室内には熱が通ることになるのです。それどころか、この熱は遮熱材の作用によって屋外に放射されません。遮熱塗装が輻射による放熱を邪魔するので、むしろ夏は暑く、冬は寒くなることが考えられるのです。
また、遮熱効果があるとされる塗料は一般的に価格が高く、単位面積あたりで比較すると、アクリル塗料やウレタン塗料の2倍程度となります。汚れると反射効果が低減するので、2〜3年おきに家全体を洗浄する必要があるうえ、15〜20年程度で劣化するため塗り直しも欠かせませんから、費用対効果の面でも遮熱塗装には疑問符がつきます。
外からの熱の遮断に有効な「リフレクティックス」
私の会社では「外遮熱」を実現する方法として「リフレクティックス」という特殊な部材を使用しています。同製品を提供するメーカーの技術は強烈な電磁波を受ける宇宙船や宇宙服の反射絶縁材としても採用されているほどで、反射率を見ても、例えば屋根によく使われるスレートは8〜10%、木材は2〜10%、タイルは5〜15%程度であるのに対し、リフレクティックスは99%と群を抜いています。
また、実際に最高品質とされている有名メーカーの断熱材で覆った箱とリフレクティックスで覆った箱を電気ストーブで熱するという実験を行ったところ、実験開始から30分後の内部温度には、断熱材で9.3℃の上昇、リフレクティックスで2.8℃の上昇がみられました。電気ストーブと箱は少し離して置いてあったため、伝導や対流で熱は伝わりません。伝わるのは輻射熱だけです。
さらに1時間後には、断熱材が6.1℃、リフレクティックスが1.5℃上昇。断熱材で覆った箱の内部が38.9℃になったのに対し、リフレクティックスは27.8℃にとどまったのです。
[図表]発泡系断熱材とリフレティックスの違い
室内で考えると、断熱材で囲まれた部屋は熱中症になる危険すら感じる空間です。快適に暮らすためには高性能のエアコンをフル稼働させる必要があるでしょう。また、夜になっても断熱材が蓄えた熱を室内に向けて輻射するので、エアコンを止めると猛烈な暑さに襲われます。
一方、リフレクティックスに包まれた部屋は少し暑いと感じる程度です。エアコンをつけなくても十分過ごせますし、蓄熱もないため夜になるとさらに温度が下がります。
実験中、箱の表面を触ってみても、それぞれの違いは明らかでした。熱を吸収する断熱材の箱は触っていられないほど高温になりましたが、リフレクティックスの箱はまったく熱さを感じませんでした。熱を空間に反射してしまうので、表面温度がまったく高くならないのです。
このリフレクティックスをRC造の建物で外壁の外側に施工すれば、箱の実験と同じように屋内から屋外、屋外から屋内の熱移動を抑えることができるのです。