「法人税を下げ、個人税で賄う」税制が国際的な潮流
平成27年(2015年)の改正で、相続税の基礎控除額は大幅に引き下げられ、また、最高税率も引き上げられました。実質的な大増税です。この相続税増税の流れは、今後もしばらく続きそうです。
法人税を減税して企業に投資や賃上げを促し、その分の税収減を補うために個人税を増税する、というのが今、世界の潮流となっています。日本でも、第2次安倍晋三政権誕生時には37%だった法人税率が、平成28年(2016年)には29.97%に下げられました。平成30年(2018)年には29.74%にまで引き下げられるといわれています。
そして、この法人税の減税分を補うため、政府は個人税の増税を検討しています。まず第一にあおりを食うのは消費税でしょう。平成31年(2019年)の10月をめどに、消費税率10%への引き上げが予定されています。そして消費税の増税にともない、相続税も増税されることが予想されます。
消費税と相続税は「セットで増税」される傾向
なぜ消費税と同時に相続税も増税される可能性が高いのかというと、相続税を増税することによって、消費税増税への国民の反発が和らぐと考えているからです。
正直なことをいえば、相続税なんて、国の税収全体からいえば1兆8116億円と微々たる額です。しかし、消費税増税のためには、国民の不公平感を取り除き、増税に納得してもらうことが必要不可欠です。改正によって基礎控除額が下がったとはいえ、相続税にはまだまだ「お金持ちの税金」というイメージが強くありますから、その相続税を増税しないことには、国民が納得しないというわけです。
その実、平成26年(2014年)には消費税が8%に引き上げられ、非常に大きな話題になりましたが、その裏では、先程述べたような相続税の大増税が行われていたのです。
こういった事情から、今後も相続税増税の流れは続くと予想されます。