大手の不動産業者が好成績をあげる一方、小さな「町の不動産業者」は苦境に立たされています。そこで本連載では、地元に寄り添う不動産業者として、地元住民に自社を印象付ける効果的な広告戦略を紹介します。

新聞購読者の減少で、折り込みチラシの効果は薄い

昨今、不動産の広告と聞いて思い浮かべるのは、新聞の折り込みチラシでしょうか。それともポストに投函されているチラシでしょうか。

 

不動産広告で今勢力を伸ばしているのは、ポストへの投げ込みチラシです。新聞のチラシは、中堅から大手不動産業者の企業しか入っていないのではないかと思います。

 

ひと昔前は、新聞のチラシが圧倒的に規模が大きかったのですが、ここ数年でめっきり減ってしまいました。その理由はとても簡単なことで、新聞を購読している家が減少してしまったからです。

 

新聞の発行部数(夕刊セット、スポーツ紙、夕刊紙含む)は1997年の約5377万部をピークに減少し、2017年現在は約4213万部まで右肩下がりに落ちています(日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」)。しかも、日本新聞協会の調査によると、10年以上前から購読を続けている人が8割を占めています。このデータから類推すると、主に読者層はほとんどが中高年中心であることがわかります。

 

不動産広告は特定地域にピンポイントで広告を出すのが普通ですから、新聞購読者数の減少は広告を目にする機会の喪失に直接つながります。また、インターネットの普及により、ネットニュースや電子新聞の発行などにより、紙媒体でニュースを読む家庭が極めて減少しました。

 

不動産の賃貸や売買広告は、定年退職してすでに住宅ローンを払い終わった世代ではなく、「これから家を買おう」「引っ越そう」という若い世代から40代ぐらいまでの層をターゲットに打つものです。その世代がほぼ新聞を取っていないならば、新聞の折り込みチラシを依頼する必要がありません。もしメリットがあるとすれば、高齢層で土地を売却して介護付き有料老人ホームに入ろうと考えている人々や、投資として不動産を購入しようとするお金持ちでしょう。行動を起こせばそれなりのまとまった金額が動くビジネスになりますが、なかなか腰を上げない人たちのほうが多いように思われます。

ターゲットを意図的に絞り込める「投げ込みチラシ」

新聞の効果が薄れている一方、近年台頭しているのが、ポストへのチラシの投函です。チラシの投函自体は結構前からありましたが、最近は業者も増えてきて、皆さんのお宅にもほぼ毎日ポストに何らかのチラシが入っているのではないでしょうか。

 

投げ込みチラシの最大のメリットには、狭小エリアに限定して配れること、ターゲットを意図的に指定して配れることなどがあります。

 

特に後者の場合、物件が3000万円程度の分譲マンションだったらそろそろ家を買おうかと思っていそうな賃貸マンションやアパートに絞って投函してもらえますし、土地建物を含めて8000万円の豪華な一軒家ならば、賃貸マンションに入れても無駄になりかねないので、ご子息のために買いたいと考えそうな、戸建ての大きめな一軒家を狙って投函してもらうことができます。販売したい商品の需要に響きそうな層を狙ってチラシを投函してもらえることで、効率のよい広告の配布となるのです。

 

ちなみにインターネットのウェブサイトに特定の傾向や趣味などを持った人々を対象に広告を出す「リスティング広告」というものがありますが、広告範囲がコントロールしづらく広範囲にわたってしまうため、ピンポイントが優先される町の不動産屋の広告としてはやや不向きなので、お願いしていません。それならば、ストレートに私たちのサイトに掲載したほうがメリットが大きくなります。

小さな不動産会社の一人勝ち戦略

小さな不動産会社の一人勝ち戦略

徳島 雅治

幻冬舎メディアコンサルティング

株式会社帝国データバンクの調べによると、2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産は93件で前年度の75件を24.0%上回り、3年ぶりの増加となった。負債額別では負債5000万円未満の小規模倒産が68件を数え、全体の7割を超えている…

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