町の不動産屋が「Tポイント加盟店」になるメリット

前回は、同業者との差別化を図る、不動産会社による顧客サービスの例を取り上げました。今回は、町の不動産屋が「Tポイント加盟店」になるメリットを見ていきます。

一気にポイントがたまるため、顧客に好評

ポイントカードは現在、いろいろなところで導入されています。ネット通販が盛んになってお得感があるとして早いうちから話題となっていたのが、楽天カードです。ほかにもイオンのWAONカードやローソンなどで使えるPontaカードなどいろいろありますが、最近俄然勢力を伸ばしているのが、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開しているTポイントです。

 

当初はビデオレンタル用のカードだったものが、ポイントを企業でも付与するようになりました。それでも楽天カードに押されてはいましたが、ソフトバンクが提携したことによって近年圧倒的な勢いで広がっています。2017年8月現在でユニークユーザーは約6400万人となり、日本国民の半分がTポイントを利用していることになります。

 

楽天カードが主にネット通販でしか使えないのと違って、Tポイントはファミリーマートやガソリンスタンド、スーパー、薬局など実店舗でもポイントの加算・利用が可能で、加盟店が急速に増えているため、Tポイント集めに目覚めた人も多いのではないでしょうか。

 

私の会社も7年前、先代社長のときからTポイント加盟店となっています。品川エリアの不動産業としては初めての加盟で、当初、不動産は普通の商品とはやや趣の異なるものなので詐欺行為を働くこともできるのではないかと、Tポイント側で大変な議論になったそうです。しかし何とか認められ、賃貸限定の仲介料を対象にしてスタート、そのうちに不動産売買についてもポイント付与が可能になりました。

 

楽天カードは不動産を扱っていないので差別化できているうえ、金額が高く一気にたくさんのポイントが貯まることで、同じお金を払うのならTポイントをもらえるほうが得として、好評を博しています。現在は後発大手不動産業者も導入しているようですが、町の不動産屋ではおそらくほとんど扱っていないのではないでしょうか。

ポイントのキャンペーンで、閑散期の顧客数を引き上げ

Tポイントは1万円につき100ポイント付与されますから、通常7万円の仲介料なら700ポイントになります。ただし、5倍、10倍、最高20倍まで設定ができるため、小出不動産では通常期間でポイント5倍設定、つまり7万円で3500ポイント、キャンペーン期間中はさらにポイントの倍率を上げ、お得感を高めて集客に利用しています。

 

特に引っ越しの多い春秋の繁忙期や夏などの閑散期にTポイントのキャンペーンを実施すると、繁忙期はますます集客率が高まり、閑散期も通常期と同じぐらいに顧客数を引き上げたりすることができるので、トレンドやタイミングを見計らってポイントのお得キャンペーンをいろいろと調整しています。

 

不動産売買の仲介では数百万円が対象になることもありますが、金融商品取引法の制限があるため、上限は100万円(1万ポイント)までと決められています。

 

特にTポイント利用者は20代から50代ぐらいまでの人が多く、賃貸や新居購入の利用者と年代がほぼかぶるので、集客として効果的です。

 

Tポイントは、1万円で100ポイント付いた場合に、CCCに100円を支払うという仕組みになっています。つまり負担はすべて店舗持ちとなるのですが、それを差し引いても収益面でのメリットは大きいと思います。

 

ただ近隣の不動産業者が同じくTポイントを開始したとしても、こちらから抗議することはできませんので、そこは上手に対応する必要があります。もっとも、通常の町の不動産屋がTポイントを導入する可能性はあまり高くはありませんが。

 

CCCに申し込めば、多少の審査はあるものの、よっぽど問題がないかぎりはすぐに加盟できるはずなので、集客に力を入れたいという場合は検討してみてもいいのではないでしょうか。

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    株式会社小出不動産 執行役員

    バブル隆盛期に不動産業界に入り、数多くの販売実績を上げた後、その経験を生かして企業の経営再建・承継コンサルタントに転身。数多くの企業や商店街の再建に取り組む。机上のアイデア提案に留まらず、その企業に自ら飛び込んで経営を主導し、内部から再建を図る行動派コンサルティングが持ち味。その実績を携えて2014年に小出不動産に入社。従来の不動産仲介業の常識を覆す経営戦略と営業活動を導入し、新しい「地域密着」型不動産仲介業を展開中。

    著者紹介

    連載町の不動産屋を成功させる「超密着経営」の極意~広告戦略編

    小さな不動産会社の一人勝ち戦略

    小さな不動産会社の一人勝ち戦略

    徳島 雅治

    幻冬舎メディアコンサルティング

    株式会社帝国データバンクの調べによると、2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産は93件で前年度の75件を24.0%上回り、3年ぶりの増加となった。負債額別では負債5000万円未満の小規模倒産が68件を数え、全体の7割を超えている…

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