前回は、町の不動産屋が「Tポイント加盟店」になるメリットを取り上げました。今回は、不動産屋の業務が人々の経済活動を広げる可能性について見ていきます。

家電、車、ファッション・・・消費活動は住空間から始まる

私たちは不動産屋ですから、土地の売買、賃貸住宅の紹介などが本業です。ただ、そう考えてしまうと、それこそ「待ち」の不動産屋で終わってしまいます。

 

しかし考え方をちょっと変えてみると、とてつもなく幅が広がります。それは、私たち不動産屋は、住空間を提供しているということです。

 

人や家族が暮らす空間の提供はすなわち人々の購買活動にまず結びつきます。カーテンも家電も車も、ファッションもすべて、住空間があってこそ。子供が生まれたら子供用品、文房具、カバン、遊具などなど。さらに、美容院、病院、薬局、学校、通勤・通学など、家庭だけにとどまらない消費活動が、その居住空間から始まります。

 

人が居ついてくれれば、町は発展します。チラシの割引券のように、その町にお金を落としてくれれば、町も人も潤います。

 

引っ越してきたのを機会に、新たに電化製品を買い換えようとする人は多いので、私はなるべくお客様に尋ねるようにしています。というのも、家電のメーカーが統一していれば、ひとつのリモコンでリンクしたり、見た目にも統一感がでたりするからです。近い将来には、スマートフォンのアプリやAIスピーカーひとつで家中の家電や設備がコントロールできるようになるはずですから、ましてや家電メーカーはできるだけ統一していればいいに越したことはありません。

 

家電を買うなら、駅前の大手量販店とも考えがちですが、商店街にも日立やパナソニックなど、メーカー特約の電器店があり、大手量販店と同じくらいのサービスの提供ができるのです。地元商店街で家電を買ってくれれば、修理の際に電話をすればすぐに来てもらうことも可能で、大手量販店より自由度は高くなります。何より商店街にお金を落としていただけば、小さな経済活動が地元でひとつ生まれます。

人が暮らすということは、ミニマムな経済活動の始まり

人が暮らすということは、すなわちこうしたミニマムな経済活動の始まりを意味します。それらが集まって町の経済、都市の経済、都道府県の経済、そして国や世界の経済にまでつながっていきます。

 

その根源となるものが住まいだと考えると、私たちが提案したことでほんのわずかでも世界が変わる可能性が100%ないとはいえません。またその人が私たちの勧めた住居に住むことによって、その人も周りも、さらには全世界の人の運命を左右することさえも究極的にはあり得るわけです。

 

ここまで話を広げると大げさすぎて嘘くさくなってしまいますが、人生や経済を底辺で支え、変える力もある住まいという空間を提供している意識は、持っていても悪くはないでしょう。

小さな不動産会社の一人勝ち戦略

小さな不動産会社の一人勝ち戦略

徳島 雅治

幻冬舎メディアコンサルティング

株式会社帝国データバンクの調べによると、2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産は93件で前年度の75件を24.0%上回り、3年ぶりの増加となった。負債額別では負債5000万円未満の小規模倒産が68件を数え、全体の7割を超えている…

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