現金の場合、金額がそのまま「評価額」になるが・・・
課税遺産の額は、被相続人から相続したすべての財産を金銭で評価し、これを合計して求めます。現金であれば、その金額がそのまま評価額となりますが、不動産の場合は、「時価」で評価します。
「時価」にはいろいろな解釈がありますが、相続税の計算において時価となるのは、土地(宅地)については「路線価方式または倍率方式」、建物については「固定資産税評価額」です(→書籍『マンガ&図解で ズバリ! わかる 相続対策』P.44〜45)。
現金を土地に替えれば、約20%も財産の評価減に
まず、土地の「路線価」ですが、これは国税庁によって1年に1度、発表されます。1年間ずっと同一価格を用いて相続税申告を行います。
1年間同一価格ということは、もし1年間のうちに実勢価格(不特定多数の間で取引が成立する価格)が下落した場合、実勢価格よりも高い路線価に相続税がかかってしまうことになり、適正ではなくなります。
そこで、「路線価」は適正価格(公示価格等)よりもあらかじめ20%ほど低い価格に設定されています。つまり、現金を土地に替えるだけで約20%も財産の評価額を減らすことができるのです。
次に、建物の「固定資産税評価額」は各市区町村役場や都税事務所の税務課が評価していますが、これは建築価格の50%程度で設定されています。したがって、現金を使って建物を建てることは、財産の評価額を下げて相続税額を減少させることになり、相続対策の効果は絶大です。
このように現金を不動産に替えるだけで大きな節税効果がありますが、デメリットもあります。まず、不動産を新たに購入すると、仲介手数料や不動産取得税、登録免許税、印紙税、登記手続き費用などの諸費用がかかります。また、不動産を保有すると固定資産税もかかるので注意が必要です。