今回は、証拠をあと出しすることで相手の弁明の余地をなくす方法を見ていきます。※本連載は、元警部である森透匡氏の著書『元刑事が教えるウソと心理の見抜き方』(明日香出版社)から一部を抜粋し、ウソや人間心理を見抜くテクニックを紹介します。

先に証拠を見せてしまえば、犯人に弁解されるだけ

共犯者がいる詐欺事件を捜査中、主犯格から携帯電話を押収して解析したところ、共犯者にメールで指示している証拠を見つけ出しました。

 

主犯格は共犯者との関与を全面否認しており、このメールが共犯者との共謀を証明する重要な証拠になりました。おそらく主犯格は、このメールを消し忘れたものと思われます。

 

こんなケースで、証拠をどう使ってウソを見抜きますか?

 

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一般的には、「そのメールを主犯格に示して口を割らせる」という方法が想像つくでしょう。

 

しかし、私はこの事件で部下にこう指示しました。「先に弁解を潰しておけ」と。

 

主犯格に証拠となるメールを見せれば、おそらく「携帯電話を落とした」「携帯電話を人に貸した」などという弁解をするでしょう。ですから、「そう言われる前に潰しておけ」と指示をしたのです。

 

つまり取調べの中で「携帯電話はいつも肌身離さず持って使用していた。人に貸したことも落としたことも一度もない」ということを言わせて、供述調書を作成させたのです。

相手の逃げ場をなくす「証拠のあと出しジャンケン」

もちろんこの時点では、証拠のメールについてはまったく触れずに、関係のない話をしながらこの事実だけを調書化しました。その上で証拠を提示して取調べしたんですね。こうなると主犯格は逃げ場がありません。今更「あれは記憶違いだった」とは言えないので、共犯関係を認めました。

 

この手法を「証拠のあと出しジャンケン」と言います。

 

証拠を見つけたら先に出すのではなく、その証拠から予想できる弁解を全て言わせてから、最後の最後に証拠を出す方法です。

 

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これはあらゆるケースで使えます。

 

例えば、会社内で社員の不正が発覚したとします。証拠を見つけたからといってすぐに示したら間違いなく言い訳をされます。ですから、言い訳は全部言わせておいて最後の最後で証拠を出すのです。

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

森 透匡

明日香出版社

警察官として約28年、うち知能・経済班担当の刑事を約20年務めた著者が、その経験の中から生み出した「ウソや人間心理の見抜き方」を公開。 相手がウソをついたときのサインの見方や、ウソつきかどうかを見極める質問の仕方が…

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