今回は、ウソのサインを引き出す質問のテクニックについて紹介します。※本連載は、元警部である森透匡氏の著書『元刑事が教えるウソと心理の見抜き方』(明日香出版社)から一部を抜粋し、ウソや人間心理を見抜くテクニックを紹介します。

短く明確な質問で、相手に考える時間を与えない

◆質問は簡単に、明確に、短文ですること

 

質問が曖昧だったり、わかりにくかったりすると、相手に理解されずウソのサインが出にくくなります。反応を見るには、相手が質問の趣旨を理解していることが前提です。従って質問は、簡単に、明確に、そしてわかりやすくするために短文ですることが重要です。

 

政治家などの疑惑が報じられたあとに、緊急記者会見を開くことがありますよね。各社の記者が手を挙げて一斉に質問するので、時間も数もかぎられます。そんなときに長々と前置きをして、1回でいくつもの質問を言う人がいます。

 

あれは最悪の質問の仕方です。つまり聞かれた方も相手の質問が長い分、考える時間が与えられます。そのため辻褄の合う回答を考える余裕が生まれます。ウソつきはウソのストーリーを組み立てていますから、真実を語るときよりも考える時間が必要になります。ですから、考える時間は与えないことが重要です。

 

また複数の質問がくると、どの質問に反応したのかわからなくなります。

感情をこらえ、淡々と質問をすることが大切

◆興奮して感情を出しての追及は避ける

 

ウソをついているのがわかったり、話に矛盾を感じたりすると、感情が表に出て怒鳴ってしまう方もいます。しかし、そこはぐっとこらえて淡々と質問することが大事です。

 

ウソを見抜くためには、相手に真実を話してもらう必要があります。相手が心を閉じてしまうと、それは不可能になります。相手の態度や言動に感情的になるのは逆効果です。冷静さを失わず、徐々に心を開かせた上で話をさせることが必要です。

 

◆ウソが固まらないようにする

 

ウソつきはこの場をどう逃れようかと常に考えているため、ウソを重ねていくことになります。

 

そして、ウソを上塗りすればするほど、ウソをつくことに慣れてきます。これが過去記事『元刑事が伝授! ウソを認めさせる「初動対応」の重要性』(関連リンク参照)でも説明した「ウソが固まる」という現象です。こうなると、ウソを見破ることはかなり困難になります。

 

ですから、なるべくウソをつかせないようにすることが重要です。

 

「あなたはしていないのですね?」

「はい」

「あなたは知らないのですね?」

「はい」

「あなたは関係ないのですね?」

「はい」

 

このように否定形の質問を繰り返していくと、ウソが固まりやすいので避けましょう。

 

 

 

森 透匡

刑事塾 塾長
経営者の「人の悩み」解決コンサルタント(人事コンサルタント)
株式会社クリアウッド 代表取締役

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

森 透匡

明日香出版社

警察官として約28年、うち知能・経済班担当の刑事を約20年務めた著者が、その経験の中から生み出した「ウソや人間心理の見抜き方」を公開。 相手がウソをついたときのサインの見方や、ウソつきかどうかを見極める質問の仕方が…

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