クレームを言う人は、物件に対する期待値が高い
今回はクレーム対応についてお話ししたいと思います。
毎月家賃を期日通り支払ってくれる入居者さんばかりで、賃貸経営がとてもうまくいっているときほど、入居者さんと大家さんとの間に接点がなくなっています。
そういった中で、「エアコンが壊れた。いつになったら直るんだ!」「上の階がうるさすぎる!」といった入居者さんからクレームがあがり、それに対応することは、入居者と接点ができるきっかけになります。
クレーム対応の際も「入居者と接点を持つ」という気持ちに立って行うことが重要です。
それを意識しないで対応してしまった結果、双方にとって大きなストレスになる場合もあります。
それではいいクレーム対応についてお話したいと思います。
最近、テナントリテンションという言葉を耳にする大家さんも多いと思います。
直訳すれば「借主の維持」で、既存の入居者さんに長く住んでもらう対策を指します。
有名なテナントリテンションとしては、「誕生日に入居者へプレゼントする」などを思い浮かぶかもしれません。
しかし、一番のテナントリテンションは、「クレーム対応をしっかりする!」ことです。
いいクレーム対応をすれば入居者は満足度が高まり、大家さんへの信頼残高が積み重なると考えます。
信頼残高とは銀行預金のように、信頼を積み上げた結果を言います。
少しずつの信頼をコツコツと積み上げた結果、それが大きな信頼となり入居者に長い間住んでもらえます。
たとえば、高い家賃の入居者が退去する理由ですと、入居した当初は、その家賃が相場よりも高いと気づかなかったからです。
そのうち自分の部屋の家賃が相場よりも高いことに気づき、「損をしているな!」と思うようになります。
すなわち信頼残高が減っていくので、契約更新のタイミングが来たときに退去されてしまうケースもあります。
一方、家賃が安く相場よりも値ごろだった場合は、満足度が高く長く住んでもらえます。
設備が壊れて新品に交換したら「よい大家さんだ。住みやすい部屋だ」という認識が芽生えます。
このようにしっかりクレーム対応をするということも、信頼残高が積み重ねにつながります。
その結果、入居者が物件のファンとなり、長く入居してもらえるのです。
このことから、クレームに対して「めんどくさい」「うんざりする」といったネガティブな印象を持たず、チャンスの1つとして捉えましょう。
悪いクレーム対応は信頼残高が激減させ、退去要因になりえます。
そもそもクレームを言う人は、物件に対する期待値が高いと考えられます。
つまり、大家としてクレームを聞く姿勢も大事です。
更にはクレーム対応によって、物件自体の評価が変わります。
発信者の状態によってもクレームの緊急性は変わる
次はクレーム対応の種類についてお話をします。
①ハードクレーム
建物・設備・仕様に対するクレームです。
②ソフトクレーム
これは人に対するクレームで、ゴミ出しや騒音トラブルがあります。
③第3のクレーム
「自分を大切にされていない」など、存在が傷つけられた時に発生するクレームです。人との接点がなかったときに起こりうる現代的なクレームの1つと言えます。
これらには「緊急性のある」クレームと「緊急性のない」クレームに分けられます。
たとえば、私の仕事はインターネットが主な生業としており、それが使えないのは非常に緊急性のあるトラブルです。
一方でインターネット接続を月に数回しかない人からすれば、緊急性のないクレームに分けられます。
つまり、発信者の状態によっても緊急性が変わり、それによって対応を考えていく必要があるのです。
また第3のクレームには、2次クレームと言われる、クレームに対するクレームもあります。