入居者の退去時に「敷金精算トラブル」が起こる原因

今回は、賃貸経営において、入居者の退去時に留意すべき「敷金精算トラブル」について見ていきます。※本連載は、満室経営株式会社 代表取締役・尾嶋健信氏の著書『不動産投資は空室物件を満室にして超高値で売りなさい』(ぱる出版)より一部を抜粋し、「満室ライフサイクルチャート」を活用した空室ゼロの賃貸経営の進め方を紹介します。

敷金精算トラブルは、賃貸経営の問題の表れ!?

入居者のライフサイクルは、まず適正な入居審査をクリアして賃貸を契約します。その後、毎月家賃を支払い、その中で修繕、クレームが生じます。そして2年に1度の更新契約を重ねます。その中で信頼残高によって「物件に長期で住む、住まない」というのが決まり、最終的には物件を退去していきます。

 

しかし、私は、そもそも「退去」という言葉は適切でないと思っています。退去ではなく「卒業」と定義したいと思っています。そこで改めて考えなければいけないのが、卒業時の敷金精算トラブルです。

 

どうして敷金精算トラブルが生まれるのでしょうか。本書では「不動産投資は出口対策、賃貸経営は入口対策である」ということを提唱していましたが、敷金精算トラブルが発生は、それが今の賃貸経営の結果の表れでもあります。

 

毎月の家賃の支払い、更にはクレーム対応、そういったことをしっかり対応してきて、入居者が何のストレスもなくお互いに幸せな状態で卒業するのであれば、敷金精算トラブルは起こりようもないわけです。

 

しかし、結果として敷金精算トラブルになるということは、反省して改善をしていく必要があります。家賃管理、クレーム対応、入居時の補修であったり、何らかの賃貸経営上の問題点が潜んでいるのではないかも含めて検討しなくてはいけません。

「敷金をとりたい」「空室が埋まらない」というジレンマ

そもそも敷金とは何かといえば「担保」のことです。「担保」を辞書で引くと、「将来、生じるかもしれない不利益に対して、それを補うことを保証すること、または保証するもの」とされています。つまり賃貸経営では、賃借人の賃料支払債務を担保する意味を持ちます。

 

現在、敷金の扱いには3つの形があると思います。

 

①敷金がとれている

 

②敷金ゼロだが、別途クリーニング代などをとっている

 

③敷金がとれていない

 

敷金1カ月ないし2カ月とれているのか、敷金0だが別途クリーニング代をとっている、敷金0でクリーニング代もとっていないというパターンです。

 

敷金がとれていなければ、ふた手間かかるため、あまり受けないケースがあります。

 

ふた手間とは、たとえばそこにリフォーム代が発生した場合、従来通りに入居者から敷金がとれていれば、管理会社は入居者に対しては請求が要らずに、預かっている敷金から相殺できます。

 

ところが敷金が取れていなければ、オーナーさんへの請求にくわえて、更には入居者への請求という2つの請求が発生します。そういう意味で、不動産管理会社の担当者にとってのふた手間なのです。そのため、やはり敷金は事前にとっておきたい。しかし、敷金を多くとれば空室が埋まらない……というジレンマの中で、日々募集活動を行っていることを認識する必要があります。

退去時に入居者に発生する「原状回復義務・返還義務」

退去の際に「退居立会い」が行われます。その際に部屋を原状に戻す業務として、原状回復があります。

 

そして、賃貸借契約書に基づいて、敷金精算を行います。敷金精算とは、入居者と貸主の原状回復に戻すための負担の割合を決める業務です。不動産管理会社のリフォーム担当者、もしくはリフォーム部門を持っていない場合は、管理会社の担当者が立会いをするケースが多いです。

 

リフォーム費用は一般的にオーナーさんが支払うものですが、必要以上に費用請求をしていたことが、過去にはありました。それが、いわゆる敷金精算トラブルとして残っている現状があります。なお原状回復とリフォーム業務は違う性質の工事です。原状回復は元に戻すための工事、リフォームはグレードアップの工事という位置づけです。

 

入居者には退去時に2つの義務があります。1つは原状回復義務。もう1つは返還義務があります。

 

①原状回復義務→借りた時の状態に戻す

 

原状回復とは借りたときの状態に戻すということです。具体的にいうと「入居者が自分で壊した部分を修理する」これが原状回復義務になります。

 

②返還義務→借りた部屋を返す

 

これは借りた部屋を返すことです。公共機関の契約、水道電気ガスが全部解約されている。部屋の中に残置物も含めて何もない状態。これが入居者の2つの退去時に課せられた義務となります。

満室経営株式会社
 代表取締役

満室経営株式会社代表取締役。大前研一BBT大学不動産投資講座講師。不動産管理会社の勤務時代、独自の空室対策のノウハウを確立し、独立。2017年現在、空室対策に特化したコンサルティングをのべ6000件、5500戸以上の空室を埋めた実績を持つ。現在、管理戸数は約2500戸。著者のノウハウを通してサラリーマンを卒業した人数は50名以上にのぼる。著書に『満室革命プログラム』(ソフトバンククリエイティブ)、『満室スターNO1養成講座』(税務経理協会)がある。現在、『月刊満室経営新聞』(一般社団法人日本賃貸経営業協会)にコラム連載中。

著者紹介

連載「満室ライフサイクルチャート」を活用した空室ゼロの賃貸経営の進め方

不動産投資は空室物件を満室にして超高値で売りなさい

不動産投資は空室物件を満室にして超高値で売りなさい

尾嶋 健信

ぱる出版

私は、日ごろより、コンサルティングや塾を通して、不変的なノウハウを言い続けています。空室対策や満室経営の根本は変わりませんが、その間、様々な新しいノウハウやツールが出てきました。 本書はそれらを加えたうえで、空…

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