クレームの「履歴」は必ず残しておく
(前回の続きです)
今回は、クレーム対応の実践ノウハウをお伝えします。
クレーム対応における入居者との円満な解決方法を探るために、管理会社さんにどう動いてもらうべきかのアドバイスは3つです。
①履歴を残す
大前提として必ず履歴を残します。
正式な書類ではなく手書きのような簡易的なものでいいと思います。
なぜなら、たとえばそのクレームが、更なる2次クレームを呼んだ場合、「なぜそうなったのか?」ということを振り返って検証できます。
2次クレーム対応では、最初のクレーム対応の仕方によっては謝罪する必要もでてきます。
その解決策が履歴を残しておくことで見つかりやすくなります。次に履歴の残し方です。
「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの情報伝達のポイントを押さえて、履歴を残しておくことを習慣化しましょう。
何か動きがあったときも、その都度に履歴をとっておきます。クレーム対応では何事においてもメモを残しておくのが必要です。管理会社と大家さんの報告、クレーム対応についてのやりとりも履歴に残します。このクレーム対応の履歴にどういう効果があるのでしょうか。
たとえば契約更新時に、「過去にどういったクレームがあったのか?」が検索できます。
「物件の履歴」としてだけでなく、その入居者が、「どういうことに対して、どのようなクレームをしたのか?」が、把握できますから、その入居者に対して個別具体的な対応をするときの参考になります。また、それによって更新を拒絶するなど、考えながら対応することができます。
「現場の完了報告」の有無が入居者の満足度を左右する
②入居者に経過報告
これは俗にいう進捗状況の報告です。クレーム対応を外注している不動産管理会社で、24時間対応のコールセンターに外注した結果、進捗状況の報告を大家さんが受けている場合と、受けていない場合。更にその進捗状況の報告が入居者にできている場合と、できていない場合があります。
それに対するタイムラグが入居者にストレスを与えていることが考えられます。ガスの給湯器が壊れてしまったとき、物理的に今日対応できる場合もあれば、たとえばお盆時期やゴールデンウイークなど、長期休暇の場合は休み明けなど、期間が空いてしまうケースもあります。
入居者にストレスのない生活を送ってもらうためには、進捗状況の報告が必要です。結果が出ていなくても、随時進捗状況の報告をすることで、入居者の不安を緩和し、大家さんへの信頼が勝ち取れます。
また、入居者が不在のときに、たとえ入室許可をもらっていても、現場から「これから室内に入室します」「修理が終わりました」と現場の完了報告の有無でも入居者の満足度が大きく変わってきます。このように履歴を残すことと同様に、経過報告を随時入居者にするのも非常に大切なのです。