今回は、身振り手振りや表情からウソを見抜く方法を紹介します。※本連載は、元警部である森透匡氏の著書『元刑事が教えるウソと心理の見抜き方』(明日香出版社)から一部を抜粋し、ウソや人間心理を見抜くテクニックを紹介します。

正直に話している人は「手」を見せる!?

◆身振り手振りはウソを隠している

 

人間は会話をしながら身振り手振りをします。ほとんどは会話の内容を補充したり、強弱をつけたりするために無意識に身振り手振りを加えているのです。

 

ところがウソをついている人は、身振り手振りがなくなる傾向にあります。「手が死ぬ」という仕草になるのです。

 

ウソをつくと頭の中で辻褄合わせをしなければならないので、頭に集中します。そうすると上半身が硬くなります。

 

取調べでも最初は机の上で手を組んで話していることが多いのですが、追及されてウソをつきはじめると手が机の下に隠れて見えなくなります。

 

「手の内を明かす」という言葉がありますよね。正直に話している人は手を見せて、手のひらを見せて話すのです。

 

嫌いな人、近づきたくない人と話すときは、腕を組むことがありませんか? これは「あなたとは話したくないという」心理を物語っているのです。

 

 

ニュースを見ていると、たまに事件の犯人を逮捕前にインタビューしていたという映像が流れることがあります。そのとき、犯人が身振り手振りを入れて熱く会話しているのをあまり見たことはないはずです。

 

ほとんどの犯人は上半身が硬くなり、「いや知らないですね」「私は関係ないですけど」と緊張した面持ちで答えています。記者の質問に対してウソの返答を必死に集中して考えるので、自然と身振り手振りが少なくなるわけです。

 

アメリカのクリントン大統領が国民から支持が高かったのは、演説のときに身振り手振りが多く、聴衆に信頼されやすい仕草が多かったからとも言われています。

 

逆にヒラリーさんがイマイチ人気がないのは、聴衆に対し、横を見て手を振ったり、握手するときもお腹を相手に見せずにすることが多いからとも言われます。

 

仕草というのは、人の信頼を得る意味でも重要な役割をしていると言えるでしょう。

通常の会話では見落とされている「微表情」とは?

◆顔の表情

 

顔の表情は心理を表します。人間の顔には44個の筋肉があり、それらが組み合わさって動くことで表情になります。

 

日本国内では数少ない認定FACS(顔面動作符号化システム)コーダーのひとりで、日本で唯一の微表情読解に関する資格を持つ「株式会社空気を読むを科学する研究所」の代表清水健二さんは「微表情」の研究家として有名です。

 

微表情とは、抑制された「真の感情」がフラッシュのように一瞬で顔に表れて消え去る表情のことを言います。その多くは0.2秒以内の出来事で、通常の会話では80~90%が見落とされてしまいます。

 

人間の基本的な感情を示す表情は人間の遺伝子に組み込まれています。ですから喜びや幸せ、驚き、軽蔑、恐怖、嫌悪、怒り、悲しみを示す表情は世界のどこでも共通なのです。

 

事実、欧米では「ウソを見抜く」ためにFBIなどの取調べの分野で大いに活用されています。

 

<刑事の雑談>

 

「刑事の給料は大企業並み?」刑事は安月給というイメージがありますよね。でも、実は刑事の給料は決して安くありません。

 

私は今、会社を経営していますのでよくわかりますが、刑事は待遇面では非常に恵まれていると思います。

 

ご存知の通り、刑事の仕事は過酷です。特に警察署の刑事は昼夜問わず呼び出されて事件に対応することもありますし、週に一度は当直勤務もあります。体力的にも精神的にも非常にキツイ仕事です。ですから単純に民間の仕事と比較にはなりませんが、皆さんのイメージよりも高い給料を貰っていると思います。

 

 

ちなみに刑事の中で給料が一番高いのは誰だと思いますか? 警察署を例にするとおそらく「刑事課長」(階級は警部)でしょう(警視庁は役職構成が違うため除きます)。刑事課長は刑事課の指揮官ですから、それこそ寝る暇もなく事件に対応しています。私が刑事時代に一番やりがいを感じ、仕事としておもしろかったのは「刑事課長」でした。数十名の刑事を、自分の好きなように動かして犯人を捕まえることができます。これは刑事課長ならではの醍醐味です。

 

しかし、刑事課長を2年間も経験すると、正直なところ「もう十分」という気持ちにもなりました。

 

刑事課長は非常にやりがいのあるポジションではありますが、精神的負担が重い仕事です。仮に判断を誤ると人の命にも関わることもあります。

 

刑事課長は重責ですから手当が多くつくのが普通ですし、年収1千万円を超える者は普通にいると思います。

 

今思うと非常に恵まれていましたね。零細企業の経営者で常時それだけ役員報酬を貰っている人は少ないでしょう。そう考えると警察官だけでなく、公務員はどれだけ恵まれているかということを知るべきですし、今更ですがそれに見合う仕事をしっかりとやらないといけないと思います。

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

森 透匡

明日香出版社

警察官として約28年、うち知能・経済班担当の刑事を約20年務めた著者が、その経験の中から生み出した「ウソや人間心理の見抜き方」を公開。 相手がウソをついたときのサインの見方や、ウソつきかどうかを見極める質問の仕方が…

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