今回は、収益不動産が赤字になった場合に返済を止めるべき理由を見ていきます。※本連載では、株式会社カウルの代表取締役・三井和之氏の著書、『不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法』(サンライズパブリッシング)から一部を抜粋し、不動産投資で赤字の兆候があるときの対応策を見ていきます。

返したくても返せないのは、違法ではなく行き詰まり

キャシュフローの赤字を補填すること以外に、投資家に残された選択肢は何か?  それは、返済を止めることです。具体的には収益不動産の状況によって変わりますが、返済計画の見直し、または文字通り滞納することになります。

 

そのようなことは許されないと思うかも知れません。たしかに、返せるはずのお金を返さないのは寸借詐欺という犯罪です。しかし、返したくても「返せない」のは違法ではありません。よくある事業の行き詰まりであり、自分の意思で返済を拒否することとは違います。

 

サラリーマンや医師、士業者として順調に歩んでいる人は、支払いをいったん止めるという発想はないかもしれません。経理部門の担当者でもめったに経験することはないでしょう。

 

しかし、中小零細を含めた多様な事業取引を見渡すと、経営者の間では普通に行われていることです。事業がうまくいっていないときに、返済のスケジュールについて交渉するということは決して恥ずかしいことではありません。

 

会社の会計が火の車だからといって、勤め人である個人が、自分の給料を仕入先に支払うようなことをするでしょうか?  普通はしないと思います。

 

賃貸経営も同じです。行き詰まったこと自体には経営者として反省するところはありますが、仕事としてやっている以上、個人で穴埋めをしようとせずに、冷静に善後策を協議しなければなりません。プライベートの延長線上で考えたら、このような発想にはならないかもしれませんが、ここは事業者として考えてください。

 

返済のストップ、返済計画の見直し、残債に満たない価格での物件の売却は、経営者であれば普通に行っています。副業の賃貸経営でもやることは同じです。とはいえ初めての経験ですから、冷静になれないのもわかります。そのようなとき、すぐに発想を切り替えられるよう、プロのアドバイスを受けていただきたいものです。

失敗を認めることになっても、実質的な問題解決を優先

お金を貸している金融機関は、最優先で返してもらいたいと思うでしょう。それが彼らのビジネスなのですから当然といえます。しかし、あなたの最優先は借金の返済ではないはずです。不動産投資を始めた理由を思い出してください。家族のため、あるいは自分の将来のためだったのではないでしょうか? それなのに、生活費を圧迫することで家族に迷惑をかけては本末転倒だと思います。

 

これは、収益不動産の経営者であるあなたと金融機関との間のビジネスで生じた問題です。家族を犠牲にすることがあってはなりません。

 

金融機関の担当者は、たいていは冷静に対応してくれますが、中にはあえてあなたを罪人のようにののしる人もいるかもしれません。あるいは泣き落としにかかる人もいるでしょう。しかし、繰り返しますが「返さない」のではなく「返せない」のは違法ではありません。事故です。

 

担当者にも立場があります。人事評価は下がるでしょう。しかし、融資判断のミスという意味では、相手も失敗をしていることになります。

 

当初の計画に沿った返済をしなくなることであなたは自分の賃貸経営上の失敗を認めることになりますが、精神的なダメージよりも実質的な問題解決を優先してほしいと思います。

 

銀行家はお金を貸すプロです。貸し出し先の事業性を評価することが仕事といえます。相手もリスクを承知で貸しているのです。家族や兄弟など一般の人からお金を借りているのであれば返済できないことは大きな問題ですが、仕事としてやっている以上、すべての責任を借りる側の一方のみが負うという考え方はフェアではありません。

 

もちろん、満額返済を約束して借りているわけですから、ストップして当たり前という態度ではいけません。できる交渉もできなくなりますし、再びその金融機関と付き合える可能性はなくなるでしょう。賃貸経営が傾いたことをしっかり反省し、誠意をもって対応すれば、不動産投資家としての再起は可能です。返済を止めることによってすべてが終わるわけではありません。

不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法

不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法

三井 和之

サンライズパブリッシング

業者に騙されるな! 改善か売却かを今すぐ見極めろ!個人の給料やサラ金で穴埋めするな! あなたの最優先は借金返済ではない! 全ての不動産投資家が行き詰まる前に知っておくべきこと。 任意売却実績No.1のプロが教える不動産…

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