今回は、収益不動産で赤字が出た際の、具体的な対応の流れを見ていきます。※本連載では、株式会社カウルの代表取締役・三井和之氏の著書、『不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法』(サンライズパブリッシング)から一部を抜粋し、不動産投資で赤字の兆候があるときの対応策を見ていきます。

赤字を別の収入から補填するのはNG

具体的に収益不動産で赤字が出たときの対応の流れを見ていきましょう。

 

例えば、次のような状況です。退居が発生したため、来月の家賃収入がローンの返済額を確実に下回ります。このまま続くと、毎月何十万円単位のお金を給与収入から支払わなければならなくなります。いつまでもそのような生活が続くわけはありません。

 

まず、赤字を別の収入から補填するようなことはしないことです。そして、なるべく早く、借りている金融機関に今の状況を包み隠さず話してください。経営状態が悪く、来月の返済が難しいといったことを伝えます。こちらが誠意をもって話せば、相談に乗ってくれるはずです。やりくりが苦しい人への対応も彼らの仕事のひとつといえます。

現実的な返済可能スケジュールを引き直す

この相談をすると、返済計画を見直そうという話になるはずです。返済期間の見直しはリスケジュール、縮めてリスケともいいます。これについては金融庁が金融機関に対して指導を行っており、相談に対して真摯に対応することや、必要に応じて適切な助言を行うことなどを求めています。もし正当な理由なく対応を拒むようであれば、同庁に通報することが可能です。

 

こういった事情もあり、金融機関はリスケの相談には親切に、あるいは淡々と対応してくれます。現状を伝えれば、思ったよりもすんなりと話が進むはずです。ただ、細かいところで少しだけ温度差の違いはあるかもしれません。

 

現在のキャッシュフローの状況を事実として伝え、金融機関の担当者と話し合って現実的に返済可能なスケジュールに引き直します。

 

返済条件を緩和してもらうことで、債務者区分(格付けのようなもの)は下がると考えられます。その金融機関から何らかの新規融資を受けることは難しくなるでしょう。これもリスケを相談することについての心理的なハードルのひとつだと思います。しかし借りられなくなったとしても基本的にその一社だけなので、あまり気にしないでください。

 

最悪なパターンは、滞納したうえに話し合いさえせず逃げ回ることです。金融機関からの電話に出ない。督促状が届いても読まない。担当者も人間ですから、感情があります。その後の交渉がスムーズにいかなくなる可能性が高いので、絶対にこのような対応はやめてください。

 

怖がらずに誠意をもって話せば、向き合ってくれます。ひとりでは難しく感じるかもしれませんが、赤字になった時点で不動産業者に相談していれば、アドバイスと精神的な支えを得られるでしょう。

 

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三井 和之

サンライズパブリッシング

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