今回は、収益不動産が赤字になった際の具体的な対処法を見ていきます。※本連載では、株式会社カウルの代表取締役・三井和之氏の著書、『不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法』(サンライズパブリッシング)から一部を抜粋し、不動産投資で赤字の兆候があるときの対応策を見ていきます。

話し合いをせずに放置すると、競売にかけられてしまう

前回の続きです。

 

もしも話し合いをせずに放っておくと、競売にかけられることになります。3.4ヶ月後に金融機関から「期限の利益喪失通知」が届き、その後、担保権にもとづいて裁判所に競売を申し立てられることになるでしょう。すると差し押さえ通知がきて、競売開始決定となります。

 

不動産鑑定士がきて物件の評価を行うなどしたのち、およそ半年後に入札され、落札した人に所有権が移転されます。その時点でこの不動産は自分のものではなくなるのです。売買代金はローンの返済に充当され、それでも返しきれない部分は無担保の借金として残ります。

 

金融機関にリスケの相談をするときには、現況の収支と今後の見込みについてありのままを話すことが大事です。

 

注意してほしいのは、責任を感じるあまりに「〇〇万円は必ず返します」などと無理を言わないことです。無理を言うと無理をしなければならなくなります。正直に、現実的に家族に迷惑をかけずに返済できる額を伝えてください。

赤字の改善が難しい場合は、売却に向けた動きを

リスケの相談と平行して、赤字の原因を分析してください。運営管理によってリカバリーが可能なのかどうかによって、その後の対応の仕方が変わってきます。

 

原因分析は収益不動産の管理と売却の実績がある不動産業者に依頼するのがよいでしょう。金融機関への対応方法に関するアドバイスももらえるかもしれないので、赤字になった時点で最初に相談しておくのがよいと思います。

 

入居率が下がっているのか、そもそも返済比率が高すぎるのか。空室が多いのであれば何が原因なのか、募集の仕方がよくないのか、設備が魅力的でないのか。

 

運営管理がずさんなのであれば、向上の努力をします。管理会社との連絡をまめにする、募集方法を工夫する、防犯対策を行って安心して入居できるようにする・・・など。入居率が上がって収支を立て直すことができれば、銀行に滞納した分の返済をして、お互いに円満解決となります。引き続き満室経営に努めてください。

 

問題は、リカバリーができない場合です。特に入居率が高いのに、返済比率が高くて赤字になっている場合。原因は三為業者などから高く買いすぎたか、あるいは金利が高いか、返済期間が短かすぎるかのいずれかでしょう。返済計画を見直すか、それができなければ売却するしかありません。

 

または、空室が多く、その理由が運営管理を怠けているからなのではなく、立地にある場合。これも物件を手放すという選択肢が最良です。最終的に売却することになったとしても、順序としてはまずリスケジュールを相談することになります。

 

ここまでの流れをまとめます。キャシュフローが赤字になりそうなとき、またはなってしまったときは、まず金融機関に支払えないことを伝え、リスケを依頼します。また、不動産業者にも相談して、原因を分析。業者への相談が先でもよく、このほうが心理的なハードルは下がると思います。

 

もしも管理方法の改善によって赤字を解決できるのであれば、全力で取り組んでください。他に手の打ちようがないのであれば、売却に向けて動きます。

 

金融機関には正直に、しかし無理な約束はせずに、ありのままを話します。真摯に対応してくれると信じて粘ってください。双方が合意に至れば、そこで新たな返済計画が動き出します。

 

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三井 和之

サンライズパブリッシング

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