相談相手を間違えれば、かえって債務が膨らむことに!?
前回の続きです。
不動産や地域の事情にそれほど詳しくない人が、情報を集めようとしても限界があります。地場の不動産会社や不動産コンサルタントに相談するのも一案ですが、見当はずれの意見をもらうこともあるので注意が必要です。
委託している管理会社に相談したら、外壁塗装をすれば大丈夫、リフォームをすれば入居者が入るなどといわれ、お金をかけて挽回しようとする人もいます。
しかし、この管理会社のアドバイスが的を射ているとは限らず、市場の問題を見落としている可能性もあります。基本的に家賃収入が増えれば委託手数料も増えるので、管理会社も努力して空室を埋めるようにはするのですが、必ずしもすべての担当者が優秀とは限りません。
世の中には、不動産コンサルタントを名乗る人が大勢います。好調なときに融資元に取り次いで事業を拡大していく、物件を紹介するなどといった規模拡大型のコンサルタントはよくいるのですが、入居率が低下したときに相談できる人はなかなかいません。空室対策の専門家も中にはいますが、管理会社と同様に、物件に手を加えてなんとかしようというスタイルが多く、費用がかさむ可能性があります。
コンサルタントが持つ方法論が今の状況にうまくあてはまっていれば満室に持っていくことができるかもしれませんが、市場そのものに問題があるのにリフォームの専門家に相談してしまったり、総合的な判断ができないコンサルタントを相手にしてしまったりすると、かえって債務を膨らませてしまうことがあるのです。
「不動産投資・売却」の両方に精通した専門家がベスト
入居率が低下している原因は改善可能なものなのか、それとも早期に売却したほうがいいものなのか。その判断は自分だけでは難しく、プロの力を借りる必要があります。できれば不動産投資に明るく、売却の実務にも精通した専門家がよいでしょう。どちらの立場にも偏らない、総合的な見方でアドバイスが可能です。
赤字の収益不動産を健康状態に例えると、運営管理の問題は薬を飲んで寝ていれば治るカゼ、市場の問題は放っておけばどんどん進行していくガンに似ています。
ガンの疑いがあるときに、カゼの症状が出ているからといって薬局に駆け込む人はいないでしょう。一刻も早く総合病院で医師の精密検査を受けるべきです。自己判断でカゼだと決めつけ、適切な治療を受けずに放っておけば、ガンだったときに取り返しのつかないことになります。
収益不動産も同じです。診断を受けるのは怖いことだと思います。手術、つまり物件の売却はもっと恐ろしいことでしょう。しかし、プロに任せれば思ったよりもスムーズにことが運ぶので、驚く人もいます。
地域の賃貸需要を支える要因に変化があったとき、保有物件の収支は危機にさらされるかもしれません。しかし、いざ赤字になってみると、その対処方法について冷静な判断を下すことは、普段から不動産と親しく付き合っている人でなければなかなか難しいところがあります。まず原因が運営管理の方法にあるのか、市場にあるのか、または返済計画にあるのか、分析しなければなりません。
収支が合わなくなってきた時点ですぐに不動産投資と売却の両方に精通した専門家に相談すれば、問題の所在がどこにあるのか判断して課題を抽出、手を打っていくためのアドバイスを受けることができます。体調が悪いなと感じたら、カゼなのかガンなのか自分だけで判断せず、早めに相談することです。