今回は、収益物件の「損切りのタイミング」を見極めるポイントを紹介していきます。※本連載では、株式会社カウルの代表取締役・三井和之氏の著書、『不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法』(サンライズパブリッシング)から一部を抜粋し、不動産投資で赤字の兆候があるときの対応策を見ていきます。

賃貸需要が見込めなくなったら、早めに「損切り」を

立地の問題で入居率が低下しているケースとして最近よくあるのは、大学や企業などの撤退により、周辺に住む人が根こそぎいなくなってしまうことです。

 

特に少子化の影響によって定員割れを起こしている学校は増えています。キャンパスの統廃合が行われた結果、頼みの綱であった大学がなくなってしまい、周辺の単身向け物件が軒並み空き家だらけになるということが、実際に起きているのです。賃貸需要をひとつの要因に頼っている場合、不動産投資に与える影響は非常に大きいといえます。

 

このようなときは挽回が難しいため、早期に売却を検討したほうがいいでしょう。株式取引の世界には「見切り千両」という言葉があるそうです。損失が膨らみすぎないうちに投資した銘柄を売却する「損切り」を早めに行うことをすすめる格言ですが、同じことは不動産投資にもいえます。傷が浅いうちに処理してしまったほうが、結局は最終的な成功への近道になるのです。

 

回復する可能性がゼロではない物件を売却することは、売買の経験が少ない人のとっては大きな精神的負担が伴うかもしれません。その心理的ハードルを乗り越え、淡々とやれることをやるべきです。

不動産投資は「市場を左右する流れ」を知ることが重要

市場的な問題がある物件を買う人がいるのかと疑問に思うかもしれませんが、価格を下げれば買い手はつきます。戦略的に買う人もいますが、情報不足で需要の変化を知らずに手を出す人もいるでしょう。しかし、安いので喜んで買います。

 

その物件が改善できるものかどうかを見極めるのに重要な役割を果たすのは情報です。不動産投資は情報戦なのです。企業の城下町と呼ばれるような地域でも、大学と同様、一企業の動きが賃貸経営に大きく影響します。

 

岡山県の倉敷市には三菱自動車の工場があるため、そこに勤務する人が多く住んでおり、賃貸需要は活発でした。しかし、2016年に燃費測定試験における不正が発覚したことをきっかけに操業を停止してしまい、需要は非常に落ち込みます。

 

その後、日産自動車が出資してグループ化し、操業を再開。現在は再び活況を呈しています。カルロス・ゴーン氏が社長に就任したときの同社ではありませんが、倉敷の賃貸需要はV字回復したのです。

 

操業停止後の低迷期に安い価格でアパートを買った人は、その後の盛り返しで高い利回りをあげているでしょう。需要の落ち込みは一時的なものだったといえます。企業の撤退や閉鎖が必ずしも回復不能な状態になるとは限らないのです。

 

不動産投資をしていくにあたっては、市場を左右する大きな流れを知らなければなりません。情報戦だという理由はここにあります。

不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法

不動産投資の赤字を脱却するスゴイ方法

三井 和之

サンライズパブリッシング

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