
今回は、無駄な相続争いを防止する「遺言書」の活用法について見ていきます。※本連載は、認定司法書士、行政書士、民事信託士として活躍する渡邉善忠氏の著書、『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』(キーステージ21)から一部を抜粋し、「遺言書」や生前の財産管理について、わかりやすく解説します
遺言書は故人からの「最後のメッセージ」
遺言書があれば話し合いは不要になります。また親の最後のメッセージは無視できないものです。遺言書は、多かれ少なかれそれぞれの想いをもって残すもの。遺言書を残す際には、単に財産の行方を指定するだけでなく、その「想い」も合わせて残しておくほうが、相続人としても納得がいくというものです。本書『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』第1章でお伝えした、「付言」にあたる部分です。
「想いを残す」といっても、難しく考える必要はありません。「生前よくしてもらった感謝の気持ち」や「兄弟・姉妹で仲よくしてほしい気持ち」、「世の中に対して、こういうことを考えています」というものでよいのです。自分の想いをしっかりと残す遺言こそが、故人から残された方への、最後のメッセージだということもできます。常識的な感覚のある方であれば、それを無碍にすることはできないのではないでしょうか。
遺言書を相続人全員の前で公開し、争いを未然に防ぐ
またあらかじめ遺言書をつくっておき、それを事前にみんなの前で公開するというのも一つの方法です。亡くなる方としては、残される人に争ってほしいと思う人はいないと思います。亡くなったあとにいろいろな人が出てきてあれこれいう位であれば、最後の意志として「自分はこうこうこういう想いから、こうしたい」と伝えることで無駄な争いが防げるのであれば、それも遺言の有効な使い方の一つです。