中長期的に「右肩上がり」を前提とした場合の投資法
それではまず、中長期的な投資手法を紹介していきましょう。私が考える中長期的な投資手法はバイ・アンド・ホールド(Buy&Hold)です。
この投資手法は、ビットコイン価格が中長期的に右肩上がりとなると考えることが前提のときに使う投資法です。今後、中長期のスパンで下落することを想定している場合は、この投資手法を用いることはできません。
その名のとおり、買ったら基本的に売らずにずっと保有する投資法ですから、簡単といえば簡単です。しかし、少し値上がりしたときに、「利益確定したい」という気持ちを抑えて、売らずに我慢強く保有することが大切です。
仮にビットコインを100万円で購入し、200万円で売却したとします。このとき所得にもよりますが、最大45%の雑所得が発生します。最大税率なら100万円の利益でも税引き後利益は55万円となるということです。
200万円で売却した投資家が、税金を考慮して買い戻す場合、155万円以下で購入する必要があります。つまり小さな利益を追ってボックストレードを行う際、税率を意識して売買を行う必要があります。
逆に税率を気にせず売買をしたい人は、バイ・アンド・ホールドでトレードしたほうがいいでしょう。安く購入するに越したことはありませんが、FX取引でのスキャルピング取引は現在の税率を考慮するとビットコイン投資では避けたほうが無難です。
私は「中長期的には右肩上がり、短期的には乱高下」という相場シナリオを持っています。この考えに則して投資手法を考慮すると、購入したら簡単には手放さず我慢する運用がベストの選択となるでしょう。
2017年を振り返ると、この戦略がはまった年になったといえます。
仮想通貨を購入し、放置していたら膨大な利益に…
ここで2017年の仮想通貨市場のパフォーマンスを確認してみましょう。以下の図は、2017年12月31日時点の時価総額上位の主要な仮想通貨のうち、2016年12月31日終値を基準に、2017年12月31日までの取引時間中の最高値を比べた表となっています。
[図表]主要仮想通貨の2016年終値と2017年高値の比較
ちなみに、2016年12月31日時点で上場していなかったビットコインキャッシュやビットコインゴールドなどは対象から外しています。時価総額ダントツ1位のビットコインは、この1年間で約20.8倍になっています。
株式の世界では「テンバガー」という言葉があります。これは、「10倍」となった株を指すのですが、夢のある株式の世界でも「テンバガー」はなかなか目にできません。年に数社あるかないかです。ところが、仮想通貨の世界では、時価総額トップのビットコインですら「テンバガー」の倍近いパフォーマンスを出しているのです。
株式の世界に例えると時価総額国内トップのトヨタ自動車が、20倍近い上昇をしているのと同じです。さすがに、成熟したトヨタ自動車と成長著しいビットコインを同列に比較するのは難しいですが、それだけのインパクトが仮想通貨の世界では起こっているわけです。
時価総額2位のイーサリアムの変化率はどうでしょう。
なんと110倍です。1年間弱で保有していた資産が100倍以上になったわけですが、時価総額4位(時価総額3位のビットコイン・キャッシュは対象外)のリップルは227倍、5位のライトコインは86倍です。日本発の仮想通貨であるモナコインは驚愕の800倍超となっています。昨年末にモナコインを10万円購入した投資家は、資産が8000万円まで膨らむ瞬間があったというわけです。
時価総額上位のヴァージ(Verge)という仮想通貨は8600倍超、ビットゼニー(Bitzeny)にいたっては、驚異の1万倍超の上昇を記録しました。わずか10万円が10億円を超えたのですから、もはや宝くじの話をしていると勘違いされるレベルです。
こうした仮想通貨は、数万円購入してほったらかしにしているうちに資産が膨大な金額に膨れ上がったという典型的な例です。