投資法は「中長期」と「短期」で変わる
この連載では、具体的なビットコイン投資手法を説明していきましょう。
私は法人の資金を用いて自己勘定で実際に運用しています。こちらでご紹介する投資手法は、実際の運用でも用いていますので、実践的でリアルな投資法です。
ここでは、中長期的な投資手法と短期的な投資手法をご紹介します。ビットコインの今後の価格がどうなるかというシナリオは十人十色だと思いますが、この2パターンを軸に考えておけばいいでしょう。
仮想通貨市場全体の急成長を見てもわかるとおり、大化けの可能性がある一方で価格変動が極めて大きいことによるリスクもあります。こうしたほかの金融商品とは桁違いの価格変動率に魅了される投資家が、続々と仮想通貨市場に流れています。
「失ってもよい程度の額」を仮想通貨市場に投資
投資法を紹介をする前に、ビットコイン投資に積極的だった米国人投資家ビル・ミラー氏が実践していたことで注目を集めた資金管理法についてお話しておきましょう。
ミラー氏は、1991年から15年間連続でS&P500指数を上回るパフォーマンスを記録した伝説の株式投資家として著名な人物です。2014年からは、純資産の1%をビットコインで所有し、現在、同氏のヘッジファンドではビットコインに積極投資を行っていることを明らかにしています。
投資を行ううえで資金管理、つまり適切な資金で、その資金を効率的に投資するように考えることが重要です。人それぞれ運用資産は異なりますが、資産の1%の投資であれば、かりに投資した仮想通貨が無価値になっても、それほど大きな痛手にはならないでしょう。
しかし、いくら仮想通貨の価格が上昇しているからといって、全財産を投じてしまうと、不測の事態が起こって、仮想通貨が無価値になれば、全財産を失うことになります。
「ビットコインはマネーの真のディスラプター(破壊者)であり、真のイノベーションだ」
このような発言をしているミラー氏は、2014年に発生したマウントゴックス事件(当時世界最大の取引所だった日本にあったマウントゴックス社による横領事件)の際に、CNBC(米国のニュース専門放送局)のインタビューにおいて、「(ビットコインが)金の10%ほどの人気が出ただけで、800億ドルの市場規模になると答えました。そして次のような発言をしています。
「資産の100%を失うか、120倍の利益を出すかだ。私はこのリスクへの報酬はOKだと考える」
つまり、資産のなかで失ってもよい程度の額を仮想通貨市場に投資することで、大幅なリターンを得る可能性をつくることが「1%投資法」の基本的スタンスです。
たしかに資産のうち、1%を失ってもさほど致命的な損とはならないでしょう。それだけの資金を仮想通貨に回しておけば、数年で100倍となる可能性があります。1%が100倍となれば、当初の金融資産がほぼ2倍になります。
必ずしも全資産の1%にこだわる必要はありません。「1%投資法」の本質は、失ってもいいと思える金額で仮想通貨投資を行うことの重要性を説いているのです。また、違った見方をすれば、少ない資金でも大きなリターンが期待できるので、そこまで大きなリスクを取らなくても、大きなリターンの可能性があることを示唆しているのです。
2017年の仮想通貨市場のパフォーマンスを確認すると、仮想通貨の投資を考えるうえで、この「1%投資法」という観点はかなり有効になり得ると思います。