なるべく安い水準で、多く買いたいときにとる投資手法
それでは、実際にこうした短期的な乱高下(調整)を迎えた際、どのような買い方(押し目買い)を実施すれば高いパフォーマンスを得られるでしょう。私はこうした局面では、「台形型の買い指し」を入れて対応しています。
「台形型の買い指し」とは、たとえば、下値メドを100万円から110万円と想定した場合、110万円での購入金額よりも想定する下値の下限の水準である100万円での購入金額のほうを多めにする方法です。
同じ購入金額で買い指しを入れると、長方形となりますが、こうした買い指しの入れ方をとると形は台形になります。
なるべく安い水準で多めに買いたいときにとる投資手法です。もちろん想定よりも下落しなかったことで買い指しが入らないケースもありますが、目先の下値メドとしてみている水準での買い指しを厚くすることで、その後の反発(リバウンド)局面でしっかりとした利益確定がしやすくなります。
ただし、下値メドを見誤ったときは残念な結果となりますが、「中長期的な右肩上がり」を前提とした今の局面では、短期的な乱高下でもしっかりとしたリターンを生み出しています。
そして、この台形型の買い指しを入れる際ですが、投資(想定リターン)のイメージを二つに分け、具体的には次のような想定を行います。
●想定利益幅 6〜7%前後
●想定利益幅 12〜14%前後
つまり、さきほどの価格帯の買い指しですと、110〜105万円での買い指しと104〜100万円の買い指しの二つに分けて、購入後の利益確定の指値は110〜105万円の買い指しは115万円前後(利益幅6〜7%前後)、104〜100万円の買い指しは、利益確定の売り指値を120万円前後(利益幅12〜14%前後)に設定するという投資手法です。
このように、大きなリターンを狙う戦略と小さなリターンを狙う戦略を同時に行うわけです。
[図表]台形型買い指しのイメージ
短期的な乱高下が発生するのは「当たり前」と捉える
非常にシンプルな投資手法に感じると思いますが、2017年は、この投資法に合ったケースが多く、高いパフォーマンスを出すことができました。短期的な乱高下が発生するのは当たり前と捉えていれば、パニックに陥ることなく冷静に相場を見ることができます。
乱高下の際は、1時間で10〜20%の上下を繰り返すことがしばしば見られますので、1日に何回転(買い→利益確定の売り、買い→利益確定の売り)も売買することは可能です。
ただし、私は2回転ぐらいでやめておいたほうがいいと考えます。回転できるということはリバウンドが弱いことを意味します。株式、為替もそうですが、リバウンドが弱い相場は直近につけた安値を割ってくる可能性が高いからです。あくまでも上昇局面にある一時的な乱高下で拾いに行く投資手法と考えていたほうが無難です。
下落局面に入ったときにこの手法を用いると、「落ちてくるナイフ」をつかみにいくことになりかねないので、火傷する可能性があるので注意が必要です。
ここまで短期的な乱高下となった際の投資手法をご説明しましたが、最重要な点をお伝えし忘れていました。ビットコインをはじめ、仮想通貨の世界では1時間で10~20%上下することは日常茶飯事であることです。上下に大きくふれることを当たり前と捉えておけば、焦ることはありません(証拠金取引を行っている場合は、十分な証拠金を積んでおくことです)。
仮想通貨で運用を考えている全額で投資するのも手ですが、下がってくる局面で細かくリバウンドを狙えるだけの運用資金を確保しておけば、心理的にもゆとりが生まれるでしょう。
株式投資やFXと同様に、相場が短期的に乱高下する局面でも冷静でいることが大切です。