今回は、事業承継の計画を立てる際、検討すべき5つのポイントを見ていきます。※本連載では、この事業承継税制の特例を中心に、その概要と活用法について解説します。

 \1月20日(火)ライブ配信/
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親族内承継が難しい場合は「従業員承継」の検討を

自社の事業をバトンタッチしようとする時、「さて、何から検討したらよいか?」と頭を悩ませる経営者も少なくないのではないかと思います。事業承継の成否が会社の将来の運命を左右しますので、事業承継は計画的に、ある程度の時間をかけて進めなければなりません。

 

ここでは事業承継の計画を立てるときに、検討するべきポイントをご紹介したいと思います。

 

1.後継者の選択

 

まず、第一は後継者の選択です。中小企業の場合、同族経営の会社が多く、親族内承継というケースがやはり一番多いのではないかと思います。

 

ただ、最近は経営環境が厳しく、子供が会社を継ぎたがらないという中小企業も少なくありません。そうした状況からか、古くから社長をバックアップしている「番頭さん」が会社を継ぐ「従業員承継」の相談も増えています。従業員承継の場合、自社を取り巻く状況や事業の内容をよく理解している従業員が経営者になりますので、社内、取引先の信頼も高いと思われます。とはいえ、中小企業は事業資金を銀行から借り入れていることが多く、先代経営者が連帯保証をしている場合は、その保証を後継者である従業員が引き継げるかどうかがポイントとなります。

 

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また、従業員承継とともに増えているのが、M&Aによる事業の引継ぎです。M&Aの場合、自社の業績が好調な時でないと、なかなか買い手が現れなかったり、希望の金額で売却が出来なかったりします。業績が下降し始めてから、慌てて売却をしようとして、「会社を安く買われてしまう」という悲しい話を聞くこともあります。M&Aの場合は、業績好調時における早期の決断がポイントです。

 

2.経営権対策

 

後継者が安定して会社を経営していくには、自社株や事業用資産を後継者に集中させておくことが望ましいです。会社法の株主総会特別決議は、出席株主の議決権の3分の2以上を決議要件としております。安定した会社経営を考えると、少なくとも、特別決議の要件である3分の2以上の議決権を後継者に集中させておく必要があるかと思われます。

「争続」を避けるため、予め財産分与を考えておく

3.株価・税金対策

 

自社株の承継方法は、一般的には相続、贈与、売買といった方法が考えられます。それぞれ相続税、贈与税、譲渡所得税が課税され、株価が高ければ課税される税金も高くなります。先代経営者へ役員退職金を支給する等、合理法な方法で株価を引き下げ、出来るだけ税金コストを少なくすることも事業承継のポイントとなります。

 

4.納税資金対策

 

会社経営者が保有する相続財産の構成割合で、自社株や事業用不動産などが占める割合が高く、それに対して現預金の割合が薄いというケースがよく見られます。特に非上場会社の株式は市場がなく換金性がないため、自社株や事業用不動産に高い相続税がかかると、資金不足で納税できなくなってしまうリスクがあります。この点、平成30年からは非上場株式等の納税猶予制度が活用しやすくなっていますので、このような税制をうまく利用できるかがポイントとなります。

 

5.争続対策

 

事業承継の場合、後継者に事業用資産を集中して引き継がせますので、後継者以外の相続人がいる場合、その方が相続する財産が少なくなってしまいます。民法では、相続人は法定相続分の2分の1(直系尊属は3分の1)を遺留分として確保することができるとしています。他の相続人が遺留分に満たない財産しか取得していない場合、遺留分減殺請求をされると、相続がいわゆる「争続」になってしまいます。円満な相続、事業承継ができるよう、財産分与についても予め検討しておく必要があるでしょう。

 

経営者とお話していると、日々の業務に追われてしまい、事業承継問題はどうしても後回しになってしまうという声もよく耳にします。平成30年から10年間の特例税制もありますので、これを機に自社の承継問題を考えてみてはいかがでしょうか。

 

[図表]事業承継の際に必ず考えるべきポイント

 

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