今回は、「事業承継税制」の適用対象となる企業の要件について見ていきます。※本連載では、この事業承継税制の特例を中心に、その概要と活用法について解説します。

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資産保有型会社・資産運用型会社は対象外

平成30年1月より10年間にわたり非上場株式等の納税猶予制度(事業承継税制)に特例が設けられ、事業承継時の課税上のハードルが大幅に引き下げられました。特例事業承継税制については前回の記事でもすでにご紹介したとおりですが、今回は事業承継税制の適用を受けることのできる会社の要件についてご紹介したいと思います。

 

事業承継税制の適用を受けられる会社の要件は以下の通りです。

 

①風俗営業会社に該当しないこと

 

②資産保有型会社・資産運用型会社に該当しないこと

 

資産保有型会社・資産運用型会社とは、次のような会社をいいます。具体的には不動産管理会社をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

 

【資産保有型会社】

有価証券や賃貸している不動産、現預金等の「特定資産」の総額が全財産の70%以上を占める会社をいいます。

 

【資産運用型会社】

直近の事業年度における総収入金額に対して、特定資産の運用収入の合計額が75%以上を占める会社をいいます。特定資産の運用収入には、有価証券の受取配当、預貯金の受取利息、賃貸不動産の受取地代、家賃などがあります。

 

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※但し、上記の要件に該当する場合でも、後継者・生計を一にする親族等以外の従業員が5人以上いる場合などは、資産保有型会社・資産運用型会社に該当しないものとみなされ、事業承継税制の適用が受けられます。

 

③直近の事業年度における総収入金額が1円以上であること

 

④常時使用する従業員数が1人以上であること

 

⑤その中小企業者の特別関係会社(その会社及びその代表社並びにその代表者と生計を一にする親族等が50%超の議決権を有する場合のその会社)が上場会社等、大法人等又は風俗営業会社に該当しないこと

 

⑥経営承継受贈者又は経営承継相続人が代表者であること

 

経営承継受贈者、経営承継相続人とは次の要件を満たすものです。

 

●その中小企業者の役員であること

経営承継受贈者は、20歳以上であり、かつ役員就任後3年を経過していること。経営承継相続人は、特定代表者であった被相続人の死亡の直前において役員であったこと(    被相続人が60歳未満であった時は役員でなくてもよい)。

 

●同族関係者と合わせて発行済議決権株式総数の過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中に保有株式数の上位者がいないこと。

 

●贈与又は相続により取得した株式をすべて保有していること。

 

⑦その中小企業者が拒否権付種類株式を発行している場合には、その種類株式をその中小企業者の代表者以外の者が有していないこと

 

⑧非上場会社であること

 

⑨贈与の場合は、認定申請基準日(※)の従業員数が贈与時の8割以上を維持していること。相続の場合は、相続開始の日の翌日から5月経過する日における従業員数が相続開始日の従業員数の8割以上であること。

 

※贈与の場合の認定申請基準日

贈与の日がその年の1月1日~10月15日の場合は、10月15日

贈与の日がその年の10月16日~12月31日に場合は、贈与の日

 

10月16日以降の贈与の場合、認定申請基準日の従業員数は贈与日の従業員数と一致
するため、必ず⑨の要件を満たすことになります。 

承継後の要件を満たさない場合、猶予がなくなることも

また承継後、「贈与税の申告期限又は相続税の申告期限から5年間」の事業継続期間の間、次の要件を満たさないこととなると納税猶予を取り消され、猶予税額を納税しなければなりません。

 

①毎年1回の都道府県への報告、所轄税務署の届出を怠ったとき

 

②代表者でなくなったとき(障害者手帳の交付を受けたことによる退任などを除く)

 

③常時雇用する平均従業員数が8割を下回ったとき(特例事業承継税制では理由を記載した書類を提出した場合は、猶予継続)

 

④会社が倒産、解散したとき(特例事業承継税制で猶予取消税額が減免される場合あり)

 

⑤株式を譲渡したとき(特例事業承継税制で猶予取消税額が減免される場合あり)

 

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⑥「後継者と同族関係者で発行済議決権株式数の過半数を保有し、かつ後継者が筆頭株主」という持株比率要件を満たさなくなったとき

 

⑦上場会社になったとき

 

⑧資産保有型会社又は資産運用型会社になったとき

 

⑨減資を行った場合(欠損填補目的の減資を除く)

 

⑩組織変更(株式会社から合名会社への変更など)の際に株式以外の財産の交付があったとき

 

⑪総収入がゼロになった場合

 

事業承継税制の適用を受けようとする場合は、自社がこれらの要件を満たしているか(事業継続期間も引き続き満たすことができるのか)予め慎重に検討しておく必要があるでしょう。

 

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