一代で11の医療・介護施設の開業に成功した医師の軌跡から、事業拡大における極意を見ていく本連載。今回は、その第26回です。

常に「患者中心」の視点で考える

前回の続きです。京葉銀行八街支店跡地に「東葉クリニック八街」を1995(平成7)年6月30日に開設しました。

 

次いで1996(平成8)年6月に「東葉クリニック千葉」を開業させました。こちらは、ドラッグストアの国内大手で千葉県に本社がある株式会社マツモトキヨシと提携することができたため、小規模ながら千葉市の店舗の2階に開業することとなったのです。この時は、マツモトキヨシやその隣の店舗の洋服の青山には大変お世話になりました。

 

こうして続々と新施設を開業した大きな理由は、二番目と同じように、なるべく患者さんの負担にならないよう、できるだけ患者さんの近くにサテライトの施設を設け、通いやすくしてあげたいという思いが主体だからです。原則週3回、何時間もの透析をするために往復何時間もかけて通っていては、まともな社会生活を送ることができません。通う時間を短縮するだけでも、患者さんにはメリットがあります。

病院が大きくなれば、組織の維持・成長も必要

医師という職業を選んだ以上、患者さんのことを最優先に考えることは宿命です。

 

一方、こうして4つめの施設を立ち上げたため、私共の下には総勢100人以上の職員が集まることになりました。職員たちは皆、患者さんたちの幸福を願って働いているとともに、それぞれに家族を抱えています。子育てなどいろいろと家庭との折り合いをつけながら従事してくれている女性職員も大勢います。

 

私と大森先生と忠さんの下に集まってくれた、数多くの職員たちも幸せにしてあげるのが、上に立つ私たちの義務です。医師も看護師もボランティアではありません。職業とするために資格を取り、ここに集ってくれているわけです。そんな職員たちの生活を私たちは背負っているのです。

 

ここで赤字になって突然倒産ということになって、みんなを路頭に迷わせてしまうわけにはいきません。個人で借金をし、最終的には私一人が逮捕されればいい、と思っていた当初とは異なり、もう簡単に後戻りができないところまで来てしまったのです。

 

大きくなった組織の責任者なのですから、今度はその組織を安定させて維持し、さらに成長させていかなければならないのです。

 

この話は次回に続きます。

ドクター・プレジデント

ドクター・プレジデント

田畑 陽一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

医療者である開業医が突き当たる「経営」の壁。 経営者としてはまったくの“素人”からスタートした著者は、透析治療を事業の柱に据えて、卓越した経営センスで法人を成長させていく。 徹底的なマーケティング、2年目で多院展…

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