投機とは異なり、常に値動きをチェックする必要はない
投資に対して消極的な人からよく聞くのが、
「私は臆病だから、投資には向いていない」
「私は面倒くさがりでマメじゃないから、投資には向いていない」
といった言葉です。
しかし、「私は投資に向いていない」と思っている人は、実はとても投資で成功しやすいといえます。
すでにお話ししたように、投資と投機はまったく異なります。
常に株価や為替の動きをチェックし、買いどきや売りどきを瞬時に判断しなければならない株のデイトレードやFXなどと違い、この本で私がおすすめする方法なら、一度買う商品を決め、手続きをしたら、基本的にはほったらかしていただいて大丈夫です。
もちろん、気が向いたとき、時間のあるときに、資産状況の確認や、買い増しをするかどうかの検討をした方がよいかもしれませんが、常に値動きをチェックしたり、とっさに大きな判断を下したりする必要はまったくありません。
逆に大胆な人は、注意が必要です。
「自分は臆病だ」と思っている人は、投機や、ハイリスク・ハイリターンな商品には手を出しません。
ところが大胆な人の場合、そうしたものに興味をひかれやすく、短期間に大きな利益を得ることもあるものの、大きな損をしてしまうこともあるのです。
「放置」の状態にあった投資がもっとも成功していた
また、マメな人が投資をするときにも、意外と注意が必要です。
マメな人は、どうしても自分が買った商品の値動きや市場の動向が気になってしまい、頻繁にチェックしがちです。
そして、ちょっと価格が上下しただけで一喜一憂(いっきいちゆう)し、投資に疲れてしまったり、「なかなか利益が上がらない」「ほかにもっと利回りのいい商品があるかもしれない」と、せっかく買った商品をすぐに手放してしまったりすることがあるからです。
しかし投資というのは、本来、何十年という長いスパンで取り組むべきものです。アメリカの老舗(しにせ)の投資信託委託会社のデータによると、投資でもっとも成功していたのは、
●投資信託を買った人が、買ったことを忘れてそのまま放置している
●投資信託を買った人が亡くなってしまい、そのまま放置されている
の2つのケースだったそうです。
もちろん、長期運用にふさわしい投資信託を買ったかどうかにもよりますが、基本的には、手をつけずに長い期間ほったらかしておけばほったらかしておくほど、投資は成功しやすいといえるのです。