高層階になるほど、固定資産税額の負担を増やす方向に
タワーマンション購入による節税とは、実際に売りにだすときの「分譲価格」と相続税上の「評価額」に乖離があることを利用した節税方法です。かつては富裕層向けの節税方法として、一世を風靡しました。
では、実際の「分譲価格」と相続税上の「評価額」の乖離を利用する、とはどういうことなのでしょうか。詳しく解説していきます。
高層マンションの場合、実際に売りにだすときの「分譲価格」は、高層階になるほど高額になります。なぜなら高層階のほうが、物件として人気があるからです。この点については、一般的な感覚としても納得しやすいでしょう。
しかし、相続税上の「評価額」については「床面積」が評価基準であるため、階層の高低が価格に影響しません。つまり、全く同じ間取りであれば、1階でも最上階でも同じ評価額となるわけです。
たとえば、タワーマンションの最上階を1億円で買ったとします。しかし、相続税上の評価額は低層階と全く同じですから、非常に低額ですみます。仮に評価額が3000万円であれば、現金1億円で相続するより7000万円分もお得なのです。
[図表]タワマン節税のカラクリ
長年、その節税効果の大きさを問題視する声が上がっていましたが、ついに平成29年(2017年)の税制改正で、タワーマンション節税にテコ入れがなされました。高層階になればなるほど、固定資産税額の負担を増やすというものです。
今回の税制改正の対象は、平成30年(2018年)以降に引き渡される新築物件です。平成29年(2017年)までに引き渡しを受ければ、現行のままの固定資産税評価額が適用されます。
この改正の影響は、そこまで大きくない!?
ただ、この改正による影響はそこまで大きくないといわれています。税金の専門家としては非常に優秀な調査官ですが、土地評価に詳しい調査官は決して多くありません。土地評価というのは、非常に専門的な知識を要する上に、調査におけるコストパフォーマンスがあまりよくないので、調査官の多くは意図的に避ける傾向にあるのです。
申告漏れを指摘される財産の内訳で最も多いのは金融資産でしたが、それは金融資産のほうが土地よりも簡単に税金を追徴できるからです。土地評価はどうしても解釈論争になってしまうので、なかなか指摘が難しいのです。
土地は、相続財産全体の約40%を占めますが、一方申告漏れの指摘割合では、13.9%とかなり低めです。