リターンが低く、「ペイオフ」時の保護にも上限が・・・
前回の続きです。
ただ、多くの人はあまり意識していないかもしれませんが、預金というのも、実は運用の一種です。
金融機関は、預金者から集めたお金を企業に貸し出しています。
つまり預金者は、金融機関を通して、間接的に企業に投融資しているのであり、株や債券などを買った人が配当や利息を得るのと同様、「金融機関にお金を預ける」ことによって、利息を得ているわけです。
しかし、残念ながら預金は、今やもっとも効率が悪い運用方法の一つであるといえます。
まず、リターンの低さ。
2017年11月時点のメガバンクの定期預金の利率を見ると、預入金額や預入期間に関わらず、すべて0.010%です。
たとえ1000万円を定期預金で運用したとしても、金利水準が変わらなければ、利息は10年間で、たった1万円しかつかないのです。
しかもそこに約20%の税金がかかり、手元に残る利益は約8000円。
預金を引き出す際などに手数料をとられることを考えると、もしかしたら、家に現金をそのまま置いておく「タンス預金」の方が、まだマシだといえるかもしれません。
さらに預金は、決して「安全」ではありません。
日本では1971年に「預金保険法」が制定され、「ペイオフ」が導入されました。ペイオフとは、「銀行が経営破たんした場合、預金保険機構に積み立てた保険金から、預金者に一定額の払い戻しを保証する」という制度です。
バブル崩壊後に金融不安が深まると、取り付け騒ぎなどが起こるのを防ぐため、ペイオフの適用は1996年にいったん凍結され、「国が預金の全額払い戻しを保証する」こととなりましたが、2005年には全面解禁されました。
万が一銀行が破たんしても、保護されるのは、一人につき、元本(がんぽん)1000万円とその利息分までに限定されるのです。
預金ばかりにこだわる人は、どんどん「損」をする!?
また、預金には「インフレに弱い」というデメリットもあります。
インフレとは、物やサービスの価格が上昇していくことです(逆に、物やサービスの価格が下がっていくことを「デフレ」といいます)。
インフレが起こると、たとえば昨日まで100円で買えていたものが、120円出さなければ買えなくなるため、相対的に、お金の価値が下がります。
その結果、預金の資産価値も目減りしてしまうのです。
そして政府は、20年続いたデフレ状態から完全に脱却し、景気を回復させるため、今後インフレへの転換に全力を傾けるはずです。
もちろん、物価の上昇に合わせて預金の利率が上がれば問題はありません。
しかしここ数年、政府がインフレ誘導を行っているにもかかわらず、預金の利率が低い状況が続いているため、本格的なインフレが起こっても、しばらくは預金の資産価値が目減りする状態が続くのではないかと思われます。
一方、インフレによって企業の業績が上がれば、株価も上がるため、株式への投資は、インフレには強いと考えられています。
預金利率が低い今の時代、積極的な投資を行わず、預金という「消極的な運用手段」だけにこだわる人は、どんどん損をしてしまうことになります。
Point
預金は非常に利率が低く、もはや安全な運用手段でもない。
預金ばかりにこだわる人は、これからどんどん損をする。