「ブランド」と「顧客」の理想的な関係を分析すると・・・
ブランド論の側面から見ても、共感を得ることはとても重要なことです。その共感という考え方を一歩進めて、「ブランドに共鳴する」という段階こそ頂点であるという考え方があります。
現在のブランドの理論を構築したデービッド・アーカー氏と並ぶブランド論の大家、ケビン・レーン・ケラー氏は「ブランド・エクイティ・ピラミッド」という概念を提唱し、ブランドが顧客にとってどのような状態になれば理想的か、ということを示しています(図表参照)。
ピラミッドの頂点が「レゾナンス=共鳴」です。顧客がそのブランドの考え方に「共鳴」している状態こそ、理想的な状態であると位置づけています。
[図表]ブランド・エクイティ・ピラミッド
採用市場では「共鳴」を目指すブランディング戦略を
これを採用市場に応用すれば、ブランド=企業の考え方に共鳴してもらう状態が理想ということになります。企業の考え方とは、さまざまな捉え方がありますが、その根底にあるのは理念や価値観です。そしてある意味では、「共鳴」は共感よりも強い概念かもしれません。共鳴は、共感したうえですでに行動を起こしている揺るぎない状態と捉えることができるのではないでしょうか。
理念に共鳴しているということは、すでに一緒に理念を叶えるために走り出している状態です。内定承諾の段階でそこまで行くことは難しいですが、共感まで到達し、入社した後のどこかの段階で「共鳴」へと変わることで、その人が活躍人材へと成長するきっかけになるはずです。
自社の理念に共鳴する人材は、企業にとって強力な武器であり、なかなかいない稀有な存在のはずです。社内で探すのも難しいかもしれません。ぜひ共感の先にある「共鳴」を目指して、採用ブランディングを進めていくことを念頭に置いてください。