小口投資家のニーズに細かく応えることは難しい・・・
当然ながらヘッジファンドにはデメリットになる部分もあります。たとえば、大半が「公募」ではなく「私募」であるために、簡単に手に入らないという事情があります。
一般的にヘッジファンドは、プロの投資家である機関投資家、もしくは富裕層を対象に販売するというスタンスですが、その背景には設立に際してできるだけ「コストをかけたくない」という事情があるからです。ヘッジファンドは、運用によってリスクをヘッジしながら利益を確実に獲得することを最大の目標にしていますから、小口投資家のニーズに細かく応えていくシステムになっていないわけです。
「解約ルール」の制約を受ける点に注意
その典型的なものが「解約ルール」の違いにあります。公募型の一般的な投資信託の場合は、通常は1日1回、毎日売買ができます。ところが、ヘッジファンドは3か月に1回あるいは6か月に1回、もしくは1か月に1回しか解約の機会がありません。最も一般的なのは3月末、6月末、9月末、12月末で、3か月に一度解約ができるファンドです。
さらに、「45日ルール」といって、解約する45日前に解約の希望を伝える必要があります。3月末に解約したいのであれば、遅くても2月中旬までにはヘッジファンド運用会社に申告しておく必要があるということです。自由に解約ができないという点では、デメリットがあるといえます。
ちなみに、ヘッジファンドの45日ルールは、株式市場が下落する材料になることがあります。たとえば、9月末の解約の申告期限となる8月15日前後は、日本のお盆休みと重なって、閑散としている市場で株価が乱高下してしまうといったことが何度かありました。ヘッジファンドの存在が、市場でそれだけ大きなインパクトを持っていることがわかります。