手にした金額によって「許容リスク」は異なる
前回に引き続き、投資する人の属性別にポートフォリオの作成サンプルを紹介します。それぞれのケースを参考にしていただければと思います。
【事例5 まとまった資金を獲得したケース】
プロフィール:30~40代、会社経営者
資産内容:自分の会社売却、または外資系金融などでまとまった資金を獲得
自分の会社をM&Aで売却、あるいは投資で一気に超富裕層になった人のポートフォリオです。手にした金額によって許容できるリスクも異なってくるために、金額別のポートフォリオを作成しました。
●1億円の場合
60歳過ぎの引退を考えての会社売却といった人であれば別ですが、30代から40代の人にとっての1億円はまだ一生食べていくには不足しています。したがって、投資などによって資産を作った人も含めて、まずは仕事の継続をおすすめします。
ただし、30代ならやり直しも可能であることを考えると、リスク許容度が高いと判断して、リスク資産に「集中投下」するのもひとつの方法ではあります。その場合は、仕事を継続していること。そして、いままでと生活水準を変えないことなどが条件になります。
●5億円の場合
生活水準にもよりますが、年5%程度の利回りで運用できるのであれば、この資金だけで2000万円程度の収入が確保できるため、リタイアも可能になります。あるいは、1億円程度の住居用不動産を購入することも方法のひとつです。
●10億円の場合
現在(2014年)のタイミングであれば、安定運用型のヘッジファンドがベストの選択といえます。そのときの世界情勢によりアセットの分配比率を見直す必要がありますが、国内リスク資産のなかに株式を入れる必要はないでしょう。あえて、国内株式の銘柄選択に苦心する必要はなく、ヘッジファンド中心でいいと考えます。
●100億円の場合
生活水準にもよりますが、必要資金のみを確保し、ポートフォリオの基本型、もしくは一定の金額を残して自分のやりたい投資を行っても問題ありません。
【事例5 ポートフォリオ】
最低でも2~3割の海外資産は確保したい法人
【事例6 学校法人、宗教法人などのケース】
プロフィール:学校法人、宗教法人など
資産内容:億単位以上
事例集の最後は、学校法人や宗教法人など、ヘッジファンドをよく使う「法人」のケース。積極型、インフレヘッジ型、安定型のポートフォリオを設定してみました。基本は、ヘッジファンドでもひとつのファンドに偏らずに、複数のファンドに分散投資を図ること。現金ポジションは、現金が必要なときはすぐに銀行などから融資してもらえる環境にあるため、日本国債などで運用するのもひとつの方法です。
また、海外資産は最低でも2~3割は確保しておきたいものです。日本経済に万一のことがあっても、動じない財務体質が求められます。なお、事例6の運用比率は、金額が大きいためパーセンテージ表示にしてあります。
【事例6 ポートフォリオ】