前回は、富裕層で投資経験なしの場合と、富裕層で投資歴10年を想定した場合のポートフォリオの実例を説明しました。今回は、親からの相続財産で富裕層になった場合と、年金生活者の場合のポートフォリオの実例を見ていきます。

高額な自宅は国内リスク資産とみなして対応

前回に引き続き、投資する人の属性別にポートフォリオの作成サンプルを紹介します。それぞれのケースを参考にしていただければと思います。

 

【事例3 相続財産で富裕層になったケース

プロフィール:会社員年収:1000万~2000万円程度

家族構成:妻

資産内容:親からの相続財産が現預金5億円、自宅評価額10億円

投資経験:なし

 

高収入のサラリーマンが、親からの相続によって高額資産を保有することになったケースです。相続税納税後の資産が、現預金5億円と評価額10億円の自宅。10億円の自宅を維持していくのはかなりのコストが必要になるために、基本的には売却を想定します。現預金の5億円は、1億円を残して安定運用型ヘッジファンドにまず2億円回します。残りの2億円は海外資産として、米ドル建てREIT、もしくは海外の投資用不動産に投資します。

 

前述したポートフォリオの基本型と比較して国内リスク資産が少ないのは、自宅を国内リスク資産とみなして、現金をヘッジファンドと外貨資産のみに振り分けているためです。

 

事例3のポートフォリオ】

年金生活者の株式投資では「リスク回避」も忘れずに

【事例4 年金生活者のケース

プロフィール:65歳、年金生活者

年収:月30万円(見込み)

家族構成:65歳の妻。子は独立

資産内容:退職金1億円、貯金3000万円、持ち家ローンなし

投資経験:なし

 

現在は年金生活。退職金と預金で合計1億3000万円の資産がありますが、これをどう防衛していくかが、このケースの課題になります。投資経験がなく、現在は現預金100%になっているために、まずは2000万円の現金を残し、安定運用型のヘッジファンドに5000万円、米ドル建て資産に4000万円、残りの2000万円を国内株式などで運用するポートフォリオです。

 

年金生活者の株式投資熱は旺盛ですが、たとえば2013年に株式投資で50%の利益が出たので、その勢いで退職金も株に振り向けようとするのはおすすめできません。特に、信用取引は避けるべきです。

 

株式投資をする場合も、必ず「リスク回避」として配当性向30%以上で、配当利回り3%程度、かつ低PBRの銘柄を選択しましょう。あるいは、株主優待などがある銘柄を選択することです。重要なことは、小口で銘柄を分散させることです。年金以外に収入がないことを考えると大きなリスクは回避せざるを得ません。また、現預金だけではかえってリスクがあることを認識する必要があります。

 

事例4のポートフォリオ】

本連載は、2014年4月30日刊行の書籍『ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者およびヘッジファンド証券株式会社、株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2014 年4 月現在のものであり、今後変更されることがあります。

ヘッジファンド×海外不動産で組む  鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

植頭 隆道

幻冬舎メディアコンサルティング

相場の影響を最小限に抑え、どんなときでも一定の利益を狙える安定運用型のヘッジファンド。 所得税・地方税の節税効果が高く、投資効率も良い米国不動産。 本書ではこの2つを解説すると共に、投資家の属性別・将来のシナ…

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