前回は、クリニック開業を手伝ってくれる専門家を探す際の「5つのポイント」について紹介しました。今回は、なぜ専門家に開業の準備を委ねるべきなのか、その理由を見ていきます。

全て委ねることで相手のモチベーションも高まる

開業時においては、開業をサポートしてくれるコンサルタント以外にも、医療器械メーカーやディーラーをはじめ、内装工事業者、薬品・材料卸し、広告代理店などの様々なメンバーの協力が絶対に不可欠です。各分野における業者選定が終わったら、その後は彼らにすべてを委ねることが大切です。

 

餅は餅屋です。専門分野のことはその道のプロに一任するのがベストです。信頼できる良いチーム、すなわち開業プロフェッショナル集団が一丸となって、ドクターのために開業まで走り続けるのです。

 

相手に全てを委ねることで、相手も「ここまで信頼してもらっている」と意気に感じ、利益を度外視して十分な時間を割いて、全身全霊で尽くしてくれるケースも少なくありません。

 

例えば、医療器械ディーラーのAさんを信頼したのであれば、「電子カルテだけは、別の業者の方が10万円安いのでそちらに注文しよう」などとは考えず、全ての医療器械について、Aさんに丸投げすることをお勧めします。

 

「時は金なり」と言います。ただでさえ開業時には確認するべき事項が山のようにあるのに、医療器械や初期材料消耗品の一つひとつについて、複数社から見積もりを取って、事細かにチェックしていたら、時間がいくらあっても足りなくなってしまいます。

 

数十万円単位での大きな金額の相違であれば話は別ですが、数万円程度の差額であれば、開業後、軌道に乗ればすぐにでも回収可能です。業者ごとに仕入先への影響力が違うので、個々の納入単価が異なっているとしても、合計すれば総額は変わらないケースがほとんどです。「木を見て森を見ず」という結果にならないように、常にマクロ的に判断することが大切です。

良いチームができれば成功は「ほぼ約束される」!?

このような金銭的に僅少な部分をはじめ、開業準備の段階から、万事において意思決定が遅く、相対的にみてどうでもよいことに延々と時間をかけているタイプのドクターも、往々にして見かけます。

 

クリニックのロゴマークひとつ決めるにしても、デザインを20個ぐらい作らせて、「どれにしようか」と数日間も決められないようなケースや、待合室のソファの色を決めるのにも何日もかかるようなケースなど、優柔不断であることは開業にあたっては、マイナス要因です。

 

あえて申し上げると、私の経験上、意思決定があまりにも遅く、全てにおいて優柔不断である人は、開業には適していないといえます。こうした点は、医院経営にも通ずるわけであり、タイミングを逸してしまうことになりがちなのです。

 

開業前のドクターには、開業という目的達成のためのプライオリティを常に意識しながら、開業準備をある程度のスピード感を持って、スムーズに進めていくことが要求されるのです。そのために何よりも重要なことは、信頼できる良いチームにすべてを委ねてしまうという思い切りなのです。

 

言い換えれば、良いチームができてしまえば、成功はほぼ約束されると言っても過言ではありません。それには良いご縁が何と言っても大切です。常日頃からアンテナを張って、良いチームに出会えるように先輩や友人から情報収集を心がけてください。

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    本連載は、2016年4月刊行の書籍『改訂版 クリニック開業読本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    改訂版 クリニック開業読本

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    髙田 一毅

    幻冬舎メディアコンサルティング

    2000年から2015年の医療機関の倒産件数は527件。経営破綻した医科・歯科クリニックの8割は破産を選択せざる得なく、再起も難しい状況です。このような厳しい状況の中でも集患に成功しているクリニックが存在するのはなぜでしょ…

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