耐火性の高い木材も普及してきているが・・・
火災も住まいにとって大きなリスクです。2015年における総出火数は全国で3万9111件、住宅火災による死者(放火自殺者を除く)は914人にのぼっています(総務省調べ)。
都心部などの住宅密集地で火災が起こると、延焼による被害拡大の可能性が高まります。2016年に新潟県糸魚川市で起こった大規模火災では、一軒のラーメン店から発生した火災が強風に煽られ、周囲147棟(うち全焼が120棟)にまで燃え広がりました。糸魚川市の場合、昔ながらの木造住宅が多かったことも延焼が広がった原因の一つでした。現在は耐火性の高い木材や壁材が普及しているため、新築の木造住宅であればもう少し被害を食い止められたでしょう。
そうした「耐火性の高い木材」の多くは、燃えにくい素材、あるいは表面は燃えて炭化するものの強度の劣化が抑えられる構造になっています。そのため、火災による建物倒壊の危険性が低く、避難しやすいという特徴があります。
しかし、それでも木材が燃えているのですから、高温の煙を吸い込むことによる呼吸困難や呼吸器官の熱傷のリスクは拭いきれません。また、高温の煙は外壁に沿って広がるだけでなく壁の中にも伝わりますから、断熱材が燃えるウレタンなどの素材であれば、そこから火が回る可能性もあるのです。この点においては、ラーメン構造のRC造も同様です。
さらに、消火の際には火元となった部屋以外にもホースで水がまかれます。高熱や水にさらされた木材や鉄骨材は傷んで変質するため、どうしても家全体の強度が低下してしまいます。全壊は免れたとしても、大規模な修繕が必要か、最悪の場合は取り壊して一から建て替えとなることも考えられるのです。
コンクリートは、1000℃程度の高熱にも耐えられる
一方、RC造の壁式構造の場合、火災が起きても居住が不可能になるほど被害が拡大するケースはほとんどありません。コンクリートは熱に強く、1000℃程度の高熱にも耐えられるといわれています。コンクリートを支える鉄筋は熱に弱いものの、分厚いコンクリートに覆われているため、火災が非常に長く続かない限り劣化するような温度にはなりません。
火災で燃焼するのは家具や内装だけですから、不燃性のクロスなどを使用すれば、火災が起きてもくすぶる程度にとどめることができます。火災の際の焼損面積は木造の2割未満といわれています。
加えてRC造は水にも強いため、水害で浸水した場合も、高圧洗浄機で汚れを洗い流せば、内装のリフォームだけで火災前と変わらず、住まいとして利用できるのです。