頑丈な建物を造る、鉄筋とコンクリートの組み合わせ
RC造住宅の性能を知るためには、他の住宅との違いについて理解する必要があります。
現在、日本で行われている住宅建築の技法は、全部で9つありますが、これらは大きく3つに分けられます。木造・鉄骨造・そしてRC造です。簡単に説明すると、木造は木材の柱や梁(はり)(床や屋根などの荷重を柱に伝える材)などを組み立てて造る工法で、鉄骨造は木材の代わりに鉄材を使用した工法です。鉄骨造にはさらに軽量鉄骨、重量鉄骨などがあります。
そしてRC造は、鋼製の棒のまわりにコンクリートを流し込んで建てる工法です。
鉄筋に使用される鋼製の丸い棒にはさまざまな太さや形状がありますが、一般的には直径10〜16ミリで竹のような節がある「異形鉄筋」がよく使われます。引張力(引っ張る力)には強い半面、圧縮力(縮める力)に弱いという特徴があります。
一方、まわりを固めるコンクリートには、圧縮には強く、引っ張る力や横から押す力には弱いという特徴がありますから、鉄筋とコンクリートの二つを組み合わせることで、弱点のない頑丈な建物を造ることができるのです。
この鉄筋コンクリートを使って柱や梁、床、壁などを造るのがRC造です。現在の建築技術のなかで最も耐久性が高いため、高さ100メートルを超えるビルの建設なども可能なのです。
[図表1]建物の構造の違いと特徴
大きな地震でも倒壊しない!?「耐震性」に優れるRC造
日本で住まいを建てるなら、耐久性のなかで最も注意すべきは「耐震性」です。
日本は世界でも有数の地震大国であり、2000〜2009年に世界で発生したマグニチュード6.0以上の地震のうち、実に約20%が日本周辺で発生しています。地震は地表を覆う「プレート」の衝突によって主に発生するのですが、日本は「ユーラシアプレート」「北米プレート」「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」という4つのプレートが重なり合ったエリアに位置する、地震リスクが高い国です。
そのため、古くから一定の周期で甚大な被害を与える巨大地震が発生しており、今後も、南海トラフ地震や首都圏直下型地震などが必ず起きるといわれています。
地震の発生自体を防ぐ方法は今のところありませんから、被害を最小に抑えるためには事前の対策が欠かせません。特に家族が長い時間を過ごす自宅を頑丈な構造にすることは、人命に加え資産を守るうえでも非常に大きな意味があります。
建物が満たすべき耐震性は建築基準法で規定されています。建築基準法は安全かつ快適に建物を使用できるよう、耐震性を含めさまざまな基準や規定が盛り込まれている法律です。
関東大震災の被害研究を受けて1950年に制定されて以来、大きな地震が発生するたびに、被害状況の調査を経て改正が重ねられてきました。現行の新耐震基準は1981年6月に改正されたものであり、まれに起きる大地震でも崩壊・倒壊しない頑丈さが建物には求められています。
新耐震基準以降の建物に限って比較すると、RC造の倒壊・崩壊率が0%なのに対し、木造では7.7%なので、やはりその差は歴然です(国土交通省調べ)。