RC造の一戸建て住宅は、わずか0.8%だが・・・
日本で「家を建てる」あるいは「家を買う」となった場合、多くの人は木造住宅を選びます。日本においては伝統的でなじみのある工法であり、実際、2016年に建てられた一戸建て住宅のうち89.0%が木造住宅でした(国土交通省のデータより一戸建てにおける各構造を計算)。
一方、同調査によると、RC造の一戸建て住宅は0.8%とごくわずかです。RC造住宅のRCとは「Reinforced Concrete(強化されたコンクリート)」のことで、「鉄筋コンクリート造」とも呼ばれます。つまり鉄筋により強化されたコンクリートを使って建てる住宅のことです。
おそらく、「鉄筋コンクリート」という言葉から多くの人が連想するのは、温かみのある住まいではなく、大きなビルディングや美術館、博物館など、ランドマークになるような巨大な建築物でしょう。幾何学的なデザインには魅力を感じながらも、無機質な打ちっ放しコンクリートに囲まれた生活となると、「住みにくそう」と考える人が少なくありません。
けれども、そんなイメージの大半は間違いです。日本では、RC造の住宅があまりに少ないため、実際に暮らしている人から情報が得られることはほとんどありません。そのため実際とは異なるイメージが一人歩きして、RC造が持つ本当の利点が広く理解されていないのです。
自然災害が多発する日本の住宅には、耐久性が必要
ほとんどの人にとって、家の購入は人生で最も大きな買い物になるはずです。ですから、できるだけ長く、居心地良く暮らせるものをと考えるでしょう。
その際、どうしても間取りやインテリア、生活動線などの「暮らし方」が中心になりがちですが、私は日本で家を建てるのであれば「耐久性」が最も大切だと考えています。
日本は四季折々の風景が楽しめる美しい国です。しかし一方で、夏の猛暑や梅雨の長雨、さらに地震・台風などの自然災害が頻繁に発生する国でもあります。一年を通じて、気温や湿度は激しく変化しますから、住まいにはそれに耐え得るだけの強度が必要なのです。
1995年に発生した阪神淡路大震災では、日本の標準的な工法である木造住宅の耐久性が問題となりました。激しい揺れに耐えられず、家屋が崩壊したり、密集した住宅地で火災が広がったりと、「木造」であるがゆえの脆(もろ)さが露呈したのです。
この震災から教訓を得て、国は2000年に建築基準法を改正。以降に建てられた木造住宅では耐震性が向上しましたが、何十年と暮らす場所としては、それだけでは不十分といえるでしょう。「終の棲家」という言葉があるように、最期まで安心・安全に暮らすことができる住まいには、耐震性だけなく総合的な耐久性が求められます。
その点において、RC造はほかの工法に比べて高い性能を誇ります。これこそが、私がRC造をすすめるいちばんの理由です。