「利益2倍・株価4倍」の法則が当てはまる3つの条件
前回の続きです。
ここまで、小売株の4つの強みについて説明をしてきました。私が本格的に小売株に投資をはじめたのは2009年からですが、最大の強みは、「利益の伸び率よりも株価の伸び率がさらに高くなる」ことです。
通常、店舗数も増えればそれだけ売上、利益がともに増えるので株価も上昇していくことになります。利益が2倍になれば、会社の価値も2倍になるため、株価は2倍になるというのが常識です。しかし、実際は利益が2倍になれば株価は2倍どころかその倍、4倍まで急上昇する場合があるのです。これが、私が発見した「利益2倍・株価4倍の法則」です。
この法則については、書籍『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』第4章でも説明しますが、本連載ではこの法則が当てはまる銘柄についての考え方を説明します。条件としては3つあります。
条件①売上高、利益が順調に伸びていること
条件②割安株であること
条件③知名度が低いこと
成長率「年10%程度」が株価上昇の目安に
条件①売上高、利益が順調に伸びていること
売上高、利益については、書籍『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』第2章「四季報で有望株を探す5つのポイント①」で説明した内容と同じです。会社は価値が増大することで、株価も伸びていきます。その目安となるのが、売上高と利益が年10%程度、順調に伸びている会社になります。成長率がそれ以下の場合、利益が2倍になるのに10年以上かかってしまうため、避けたほうが無難です。
条件②割安株であること
利益の成長が高ければ高いほど、株価の上昇ペースは急激です。利益の成長率が年50%だとすると、2年で利益が2倍になる計算ですが、急成長している会社の場合、すでに多くの投資家が成長を見越して株を買っているため、株価が割高になっています。PERが30倍や50倍、なかには100倍を超える会社もあります。つまり、会社の成長性だけに注目してしまうと、会社の価値に見合わない高い株をつかんでしまい、後悔することになるのです。
そのため、売上高と利益の成長を確認しつつも、PERが割高な株は購入対象から外すようにしてください。こちらも第2章で指摘したように、ベストはPER10倍以下、高くても15倍以下にするべきです。参考までに、私が過去に保有してきた株のなかで、PERが20倍以上の株はほとんどありません。
また成長率が50%の会社があった場合、それだけ短期間で株価が上昇するため、多少割高であってもリターンを生み出せるという発想もあるでしょう。しかし、年率50%の成長は、1年や2年は続いても、5年や10年続くという株には出会ったことがありません。参考までに、50%の成長が10年続いた場合、10年後の利益は現在の57.7倍となります。仮にここまで急成長が続く産業があったとしても、成長が見込める業種には強力なライバルが何十社という単位で新規参入してきます。そうなると競争激化となり、最終的には価格競争、つまり売上と利益率の低下が必ず起こります。すでに割高な株を買い、さらに上がることを願うよりも、割安な株を買い、適正な価値か、割高になった時点で利益確定させるほうが成功しやすいのです。