「市場変更」可能な条件をクリアしている会社に注目
前回の続きです。
●株価急騰のサプライズ③市場変更
上場企業は会社の規模が大きくなってくると、マザーズやJASDAQなどの新興市場から、東証1部や東証2部への市場変更をするケースが出てきます。市場変更を申請している会社名が公表されることはありませんが、東証1部以外の会社のなかで、東証1部や東証2部に入れる審査基準を満たしている会社は、市場変更をする可能性があります。
その理由として、東証1部に上場することで、大手ファンドや年金運用会社など、より大きな買い手の対象になることや、東証1部企業という信用力から資金調達も容易化されるといったことがあります。投資家の注目が集まり、株価が上がることも多いため、東証1部上場時のメリットを見越して、東証1部以外の会社にいながら、市場変更できる条件をクリアしている会社に注目しましょう。
●株価急騰のサプライズ④増配
増配とは、配当金を予想より引き上げることです。会社選びをする際には、会社が増配を発表して人気化する前に、増配が期待できそうな会社を先取りすることが、利益を得るためのポイントです。あの有名な投資家、ピーター・リンチも「株価の上がっている会社は増配を続けている会社だ」とコメントしているくらいです。
増配は会社が生み出す利益の一部を還元するため、当然のことながら儲かっていないと実施することができません。逆にいえば、増配をする会社は業績が伸びている会社だと判断することができます。四季報では業績予想と同じく、増配の可能性があると判断した会社は本文中の「業績」欄内で増配の有無、その幅についても1株配当予想欄で具体的に示しています。
たとえば、増配の目安として配当性向を具体的割合で公約している企業の場合、それをもとに増配の独自予想を立てることがあります(配当性向とは、純利益のなかから配当金を支払う割合を表したものです。配当性向50%であれば、純利益の半分を配当に支払うという宣言を投資家に向けて発信しています。たとえば1株利益が100円になった場合、50円が配当になります)。
また、業績欄の配当予想では、会社予想とは別に増配を示唆させる表記もされています。たとえば会社が発表している今期の配当予想が50円だとしても、四季報では50〜60円と記載している場合もよく見られます。ここは注意して見るべきポイントです(下記図表)。
記念配当は「当期かぎり」というイメージが強いが・・・
●記念配当について
四季報の記事欄や会社が発表する配当に関する情報で、「会社の創立○○周年」として特別に配当金を増やすことがあります。これを「記念配当」といいます。
私もかつては記念配当は今期かぎりの増配というイメージが強く、来期以降は、記念配当以前の配当金に戻ることが多いのかなと考えていました。しかし、あらためて調べてみたところ、記念配当を実施した翌年以降も、記念配当と同額の配当を継続する会社が全体の約半分もあるということに気がつきました。言い換えると、記念配当の発表は、増配の継続性に不安がある会社が呼び名を変えて発表しているケースがあるということです。そのため増配企業だけではなく、記念配当を発表する会社も、増配発表と同じくらいの注目度で調べてみましょう。