若い一人暮らしに需要が高い「新築ワンルーム」だが…
<登場人物紹介>
カナガワ君
大学卒業後、中堅企業に就職し、日々変化のないまま働き続けて30代になったごく普通の会社員。漠然とした将来への不安を抱え、「何かしなければ」という焦りを感じ、読者を代表して不動産投資の初歩について質問する。
先生
現役の不動産投資家。もともと会社員として働いていたが、体調を崩したことをきっかけに不動産投資をはじめ、現在は資産3億円、家賃年収1000万円を得てリタイア。悠々自適に、海外旅行や家族と楽しみながら過ごしている。
カナガワ君 初心者はどんな物件を購入すればいいんですか? 先生から見て“いい物件”ってどんなものですか?
先生 まず、不動産投資の対象は、
地方⇔都市部
中古⇔新築
ワンルーム⇔一棟もの
木造⇔鉄骨⇔RC(鉄筋コンクリート造)
などがあるんだよ。建物の構造には「木造」や「鉄骨」、「RC」(鉄筋コンクリート造)のほかにも「SRC」(鉄骨鉄筋コンクリート造)などもあり、見た目だけではわかりにくいんだ。ただ、ここでは細かな違いは気にせず、大雑把に「アパート=木造」、「マンション=RC」といった捉え方をしていればいいだろう。
カナガワ君 大きく分けても、こんなにいろいろなタイプがあるんですね。
先生 そうなんだ。このなかで、「絶対に手を出してはいけない」タイプの物件があるんだよ。それはわかるかい?
[図表]
カナガワ君 え、「絶対に」ですか? そうだな~。都市部は若い一人暮らしの人も多いから、「都市部新築ワンルーム」はよさそうだし、地方にはファミリー層も多いから地方の一棟ものは人気がありそう。でも、地方は家賃が安く済むから、わざわざ中古の部屋には住みたくないかな・・・。
先生 いろいろ考えているね(笑)。実は、基本的に手を出さないほうがいいのは、「新築ワンルーム」なんだ。
カナガワ君 え、そうなんですか!?
区分所有は銀行評価が低く、連続融資が受けにくい
先生 ワンルームや1Kのような1部屋ごとに売買できるような物件のことを「区分所有物件」というんだけど、基本的に区分所有物件は買わないほうがいいんだ。
カナガワ君 だって、ワンルームマンションだと都市部でも数百万円くらいから買えるものもありますよね。最初に購入する物件としては金額も高くなくて始めやすいと思うんですが・・・。
先生 そう思って、ワンルームなどの区分所有から始める人が多いんだ。だけど、「新築ワンルームは拡大できない」という致命的な欠点があるんだよ。
カナガワ君 え、どういうことですか?
先生 不動産投資のいいところは、もらった家賃からローンを返済できる仕組みだよね。本来、キャッシュフローがプラスの物件なら2軒目、3軒目と融資を受けられるんだけど、区分所有は銀行からの評価が低く、次々と融資を受けることが難しいんだ。
カナガワ君 ということは、融資を受けながらこれからどんどん不動産を買っていくことができないということですね。それでは「レバレッジをかけられる」という不動産投資の最大のメリットが活きてこないですね・・・。
先生 そうなんだ。年収1000万円の人でも2~3室も買ったら、次の融資を受けられないだろう。また、区分マンションが1室しかないと、満室か空室かのどちらかしかないよね。運悪く退去してしまったら、その瞬間からキャッシュフローは赤字になってしまう。つまり、1室だと“0か100”で、「区分所有」は「一棟もの」よりもリスクが高くなってしまうんだ。
カナガワ君 アパートのように何部屋もあれば一時的な空室はそれほど問題ないけど、区分所有だと何室も買うことができない・・・。だから、基本的にはワンルームのような区分所有は買わないほうがいいんですね。
先生 それに、「新築ワンルーム」は販売価格が高いからローン返済額が大きく、部屋が埋まっていたとしても常に赤字のケースも多いんだ。「節税になるから」「将来、資産になるから」といった営業トークに乗せられて買ってしまうと、悲惨な目に遭うかもしれないから注意してほしいね。