不動産法人では「損金を計上する」ほど節税になる
節税のキホン:不動産投資と経費
前記の例に見たとおり、法人を設立すると節税の幅が広がります。
法人税の計算上、収入は益金、経費は損金と呼びます。税金は益金から損金を差し引いた所得に対してかかるので、損金に計上できるものが多ければ多いほど法人としては節税になります。
不動産賃貸業や複業を発展させるなどをして法人を運営していると、「この支払いは損金になるのか、ならないのか」という視点が重要になります。法人の実効税率が30%だとすると、10万円の経費が損金になるかどうかで最終的な現金収支に3万円の差が出るのです。
サラリーマンを辞めたころの私のように、従業員のいない1人会社であっても、税務上は経営者。生活費と会社の経費はしっかり線引きをしておく必要があります。
例えば、私はクレジットカードを生活用と事業用に分けて持っています。仕事の打ち合わせで食事したときには事業用のカードを、友人との飲み会には生活用のカードを使うといった具合です。これが同じカードを使っていると、どこからどこまでが経費なのかわからなくなってしまい、法人での経理処理を怠るようになってしまいます。
たとえ1回2000円のコーヒー代でも、積もり積もれば相当な額の法人税を節約できます。マネーの分類が習慣づいていることが重要なのです。
「損金」と「そうでないもの」を仕分ける力が重要
ただ、不動産賃貸業は経費としてすんなり認められる出費が少ないのが正直なところです。例えば交際費。管理会社や仲介会社への手土産代や飲食費はよいのですが、不動産投資家同士の交流会を損金に計上すると、税務調査が入ったときに税務署との折衝が必要になることがあります。
我々のようにゼロから不動産を買い進めていく者たちにとって、同業者の情報交換・共有や人脈は経営に欠かせないものなのですが、もともと不動産賃貸業者の9割は地主です。たしかにもともと持っている土地に手を加えて貸し出す人たちにとっては、他の地主との情報共有はあまり意味がありません。税務署の職員の頭の中では「不動産賃貸業=地主」となっているので、投資家同士の交流会が経営に必要だということに対して理解されにくいのです。顧問税理士とともに説明して納得してもらわなければなりません。
マネー総合研究所メンバーによると、香港法人では何でも経費で落ちるそうです。虫歯治療や家族が済む家の家賃、さらに腕時計まで・・・日本ではここまで自由にはできませんが、損金とそうでないものを仕分ける力は必要です。