今回は、生命保険の活用で「収益不動産の赤字」をリカバリーする方法を見ていきます。※本連載は、マネー総合研究所・所長の杉田卓哉氏の著書、『外貨積立から不動産投資まで 今すぐ資産を増やす「マネー新常識」』(サンライズパブリッシング)より一部を抜粋し、自身の労働時間に依存することなく、大きな収入を得るための資産運用の方法を紹介します。

長期平準定期保険の解約は「黒字と赤字の調整弁」

少し難しい話になりますが、先ほどの長期平準定期保険は節税面でもうひとつの役割を持っています。「黒字と赤字の調整弁」です。

 

まず、黒字のときは前述のとおり、保険料の半分が損金になることで、所得を減らすことができます。

 

定期保険は解約すると所定の返戻率に応じて返金されます。それまで半分資産、半分損金に計上しているため、解約時には半分が資産の取り崩し、もう半分は益金として計上します。売却などで赤字が出た際に解約することで、赤字の損金と保険の益金が相殺され、わずかな黒字を保つことができるのです。一般的な事業であれば税務上赤字になることは問題ないのですが、不動産賃貸業で引き続き金融機関から融資を受けようとするのであれば、黒字でい続ける必要があります。

 

例えば、今期は100万円の赤字になりそうだというとき、300万円の長期平準定期保険を解約すると、そのうち150万円が益金となり、差し引き50万円の黒字となります。もともと黒字のときに解約すると、150万円にそのまま税金がかかるので、赤字のときに相殺させるのが合理的です。

赤字物件のリカバリーに使える税制の仕組みとは?

似たようなことは赤字が出ている物件のリカバリーにも使えます。

 

キャッシュフローに赤字が出ている物件があり、売ったら売却損が出るという状況で、他の物件を取得します。追加で取得した物件は黒字で運用し、しばらくしたら同時期に売却します。すると黒字物件で出た益金と赤字物件で出た損金が相殺され、どうにもならないはずだった赤字物件を活用することができます。新築区分マンションで赤字を出してしまっている人などに私がおすすめしている手法です。

 

法人を設立せずに、個人名義で取得した物件の場合は、少し複雑になります。個人が不動産を売却したときの税金は、不動産所得とされる家賃収入と異なり、譲渡所得と分類されます。不動産所得は本業の所得と合算(損益通算)できるのですが、譲渡所得はできません。

 

さらに満5年を超えて所有した物件を売ったときの長期譲渡所得と5年以下の短期譲渡所得に分けられ、この区分が異なる場合も損益通算はできません。税率は長期が39%、短期は20%と大きく違います。

 

個人の赤字物件のリカバリーは、追加で物件を取得してから5年経過するのを待ち、赤字物件と黒字物件が両方とも長期譲渡所得に分類されるようになったときに売却します。

 

この税制の仕組みを利用した売却が、赤字物件を有効活用する唯一の方法だと考えています。

 

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杉田 卓哉

サンライズパブリッシング

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