今回は、不動産投資を「生命保険代わり」に活用する際の留意点を見ていきます。※本連載は、マネー総合研究所・所長の杉田卓哉氏の著書、『外貨積立から不動産投資まで 今すぐ資産を増やす「マネー新常識」』(サンライズパブリッシング)より一部を抜粋し、自身の労働時間に依存することなく、大きな収入を得るための資産運用の方法を紹介します。

「団信」への加入で、万一のときに残債を一括返済

不動産投資は生命保険の代わりになります。なぜなら団体信用生命保険(団信)があるからです。住宅ローンを組んでいる人はたいてい加入しているあの団信です。

 

アパートローンを組むときに団信に加入すれば、自分にもしものことがあったときに残債が保険で一括返済され、収益物件は家族に遺されます。ローン返済の必要がないマンションやアパートが手に入り、家賃収入で生活していくことができるでしょう。

 

一般的な生命保険に加入して、死亡時に数千万の一時金が入ったとしても、家族にマネーに関する知識や心の準備ができていなければ、すぐになくなってしまうかもしれません。それよりも、継続して家賃収入が入る仕組みとして不動産を遺してあげたほうが家族のためになります。

 

ただし、団信を利用した場合、家族の生活保障とは別の目的で生命保険に加入する必要はあります。相続税対策です。数億円規模の不動産が債務の負担なく相続されるので、多額の相続税が発生する可能性が高くなります。数千万円、数億円の現金が必要になるかもしれません。

 

税理士などの専門家に相談し、発生するであろう相続税と現在の現預金残高に応じて、適切な保障額の生命保険に加入する必要があります。

 

団信に加入しない場合は相続税の対象となる財産からローン残高が差し引かれるので、相続税額は圧縮されます。その場合でも土地建物の評価額や空室率などの状況に応じて相続税は発生しますので、いずれにしても検討は必要です。

 

また、相続人が複数いる場合、現物資産である不動産は分割に苦労することがあります。最悪、親族同士がいがみ合う「争続」になりかねません。現金であれば簡単に任意の割合に分けることができます。

不動産法人の設立で、生命保険を経費に計上することも

長生きリスクに備えるための医療保険や、生命保険なども必要に応じて検討します。

 

不動産管理法人を設立すれば、一部の生命保険を経費に計上できます。個人の生命保険料控除は最高でも年間4万円までしか認められませんが、法人保険に金額的な上限はありません。

 

例えば、長期平準定期保険()というタイプの保険は保険料の半分を経費に、残り半分を資産として計上します。保険料が年間120万円の場合、半分の60万円をその年の利益から差し引くことができ、節税になるのです。この処理は保険期間の6割に相当する部分だけで、あとは全額経費に計上できます。

 

満期が80歳、90歳など長期にわたる生命保険。ここでは法人が保険料を支払い、役員・従業員が死亡したときに法人が保険金を受け取るもの。

 

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杉田 卓哉

サンライズパブリッシング

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