日本は「不動産投資をする環境」が整っている
特に今の日本の不動産市場は、一般的なサラリーマンにも参入しやすい状況です。
金融商品についてはグローバル思考が大事ですが、こと不動産においては、国内に焦点をあてるべきだと考えます。
まず、賃貸経営には管理を委託する会社や仲介会社とのやりとりなどを必要とし、ときには難しい交渉も伴います。日本人を相手にしても苦労することを、海外不動産投資では言葉や習慣の壁がある中でまともに行なわなければならず、それは至難のワザといえるでしょう。
そして何より、日本は不動産投資をする環境が整っています。
都心は価格が高いので利回りは低くなりがちですが、東京の平均的な数字は4%程度、一方シンガポールや香港などの中心部は1%台。3〜4倍です。
さらに、日本の地方では利回り10%ということも珍しくありません。成長著しい発展途上国でも利回り10%の不動産はなかなかない中、国内不動産投資の利回りは高いといえます。
金融機関の融資、不動産管理会社などの仕組みも確立
また、金融機関の融資や不動産管理会社などの仕組みが確立しており、取り組みやすい環境です。
よく海外不動産投資セミナーの勧誘文句に、フィリピンやベトナムなど人口が増加傾向にある新興国は、人口減少社会の日本よりも将来性がある、といったものがあります。しかし、個人レベルで不動産投資をするのに、あまりマクロの視点は関係ありません。自分が買ったアパートのたかが10世帯程度に入居者がつけばいいだけです。力技でいくらでも埋められます。
ただ、キャピタルゲイン(売却益)は新興国のほうが期待できるのは間違いありません。
これはインカムゲイン(賃料による継続収入)とは別物です。まずは国内不動産でノウハウを身に付けて資金を作り、余力ができたうえで海外へ進出するのがよいでしょう。
または、ランドバンキング(※)のようにインカムゲインは求めずに、値上がり益のみ期
待する投資であれば比較的取り組みやすいかもしれません。
※ランドバンキング・・・未開発の土地を安く買い占め、都市開発が進んで価値が上がったら高値で分譲する投資手法。
国内の金融機関による融資は徐々に厳格化されつつありますが、一部の銀行では依然として不動産投資に注力しています。
例えば代表的な金融機関である日本政策金融公庫は、2017年4月から急に厳しくなりました。一方、ここ15年くらいは常にどこかしらの銀行が積極的に融資しています。今のところ、足利銀行、三井住友銀行、オリックス銀行、スルガ銀行、千葉銀行など、不動産投資家が頼りにしてきた金融機関は変遷しながらも、まったくなくなることはありません。
一部金融機関の厳格化は、日本銀行や金融庁などが引き締めに動いている影響と思われます。地方を中心に、相続対策をうたい文句にして、需要にもとづかない安易なアパート新築が増加しており、これらを抑制するためです。
利回りの高さと取り組みやすさの両面から見て、日本の不動産市場は参入しやすい状況にあるといえます。