ノウハウが確立され、金融機関の融資も下りやすい
本連載ではリタイアを目指す資産運用、つまり生活するのに十分な収入をマネーに稼いでもらう方法について説明します。
働かせる元手となるのは、第1ステージで確保し、第2ステージで増やした数百万円です。
まず前提として、百万円単位の資金では、運用で給与以上の収入を得ることはできません。額面の数倍、数十倍のマネーが必要になります。そこで必須となるのがレバレッジです。自己資本だけではなく他人資本を使う、つまり借り入れで不足分を補う必要があります。
レバレッジのもともとの意味は「てこの原理」のてこ(lever 、レバー)です。棒切れを使って自分の体重の何倍もの岩を動かすことができるように、自己資金を元手に借りたお金を加えることで、資産規模を一気に拡大します。
基本的な図式としては、第1・第2ステージで貯めたお金を頭金として資金を借り、ストック型の収入(本書の第3章参照)を生み出す資産を買う、ということになります。
資産の例としては次のようなものが挙げられます。
●不動産(住居、駐車場、事務所など)
●コンテナ(ストレージ)
●コインランドリー
●トランクルーム
●船舶
●フランチャイズ店舗
●ウェブサイト
この中でも比較的多くの人にとって取り組みやすいのは不動産投資です。
手がける人が多くノウハウがすでに確立されていることや、マイナス金利下で金融機関が融資を出してくれやすいことなどがその主な理由です。
レバレッジ効果が高く、素早く事業規模の拡大が可能
「投資」と名前がつくものの、私は不動産投資を事業だと考えています。
不動産を担保に融資を受け、マンションやアパートのオーナーになる。そこには入居者の募集や物件の選定などの労力が必要であり、労働収入としての要素があることは否めません。
しかし、初めはそれでいいのです。だんだんと規模を大きくしていき、やがて人を雇うなどしてビジネスオーナーとしての性質を強めていけば、完全な不労所得として機能していきます。レバレッジの効果は絶大で、破格のスピードで規模を大きくしていくことができるので、正しく取り組めば数年で達成できるはずです。
また、新築一棟マンション投資などは、入居者募集や建物の保守管理に割く労力が少なく済むので、不労所得としての性質がさらに強くなります。
事業というと「才能や元手が必要で、自分にはそれらがないから無理そうだ」と思う人もいるかもしれません。
しかし、不動産投資で鍵をにぎる融資は、基本的に不動産の価値に対してつけられます。本人のビジネススキルや収入は二の次なのです。元手も100万円〜300万円あればスタートは可能です。
もちろん経営努力は必要ですし、年収によって取り組み方は違いますが、多くの人に門戸が開かれているのが不動産投資です。
不動産投資において、真に「投資家」と呼べるのは、むしろお金を貸す金融機関の側でしょう。担保となる不動産と融資先を見る目があり、多額のお金が必要でなければできません。貸し付けが終わればあとは基本的に労働することなく、毎月の返済から得られる利益を待つのみです。
不動産投資は間口が広く、数百万円の元手と一定の収入があれば誰でも取り組むことができます。そしてビジネス規模にまで拡大していくノウハウも確立されているのです。