利回りや返済、税金に関わる指標とは?
前回の続きです。
Cap Rate(Capitalization Rate:キャップレート、総合還元利回り)
オーナーの期待する不動産還元利回り。実際には、リスクのない長期国債の利回りに、不動産のリスクに応じて期待する上乗せ収益と、物件固有のリスクに応じて期待する上乗せ収益(地域・築年数・構造など)を合算して導き出されるケースが多い。Cap Rate=NOI÷物件価格
ADS(Annual Debt Service:年間総返済額)
年間の利息と元利の返済総額。元利均等返済の固定金利ローンの場合、ADSは毎年一定額となる。ADS=年間元金返済額+年間利息返済額
BTCF(Before-Tax Cash Flow:税引前キャッシュフロー)
NOIからローンの年間総返済額(ADS)を差し引いた、最終的に手元に残る金額。BTCF=NOI−ADS
ATCF(After-Tax Cash Flow:税引後キャッシュフロー)
収入を得たことによって発生する税金を引いたものが税引後キャッシュフロー。対象物件に不動産投資したときに発生する税金などを引いた実際の収益。ATCF=BTCF−TAX
LTV(Loan To Value:借入金割合)
借入金額の物件価格に対する割合。LTV=借入額÷物件価格
FCR(FreeandClearReturn:総収益率)
NOIを物件価格や諸費用など物件を購入するために費やした金額で割った数値。総コストに対して物件がどれだけの収入を生んでいるかを示す指標。FCR=NOI÷総投資額
K%(Loan Constant:ローン定数)
ADS(年間返済総額)のローン残高に対する割合。K%とFCRを比較することによって、レバレッジ効果が働いているかどうかの判断ができる。K%=ADS÷現在のローン残高。
CCR(Cash on Cash Return:自己資本配当率)
BTCFを自己資金で割ることで算出。自己資金に対してどれだけのリターンがあるのかが分かる。C on C%、EDR、ROE、ROIと言うこともある。CCR=キャッシュフロー÷自己資金
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:借入償還余裕率)
NOI(営業純利益)をADS(年間元利返済額)で割ったもの。ローン返済の何倍の収入があるかを算出し、大きければ大きい程リスクが低く、小さければ小さい程リスクが高くなる。DSCR(借入償還余裕率)が1以下であればデフォルトの状態。DCR=NOI÷ADS
指標よりも、指標を使った業者の提案を吟味する
不動産運用にかかわる指標はこのほかにもたくさんあります。投資家のなかには、まるで受験生のように時間を費やしてこれらを覚え、さらにこれらの指標から割り出した合格ライン以上の物件探しに躍起になっている人がいます。
しかし本来、このような指標による物件の分析は、我々のようなプロに任せればいいのです。プロならばこのような指標による分析のほかにも、これまでのノウハウや業界の情報を考慮して、世の中に何万棟とある収益物件のなかから顧客にとって最適な物件を見つけ出すことができます。
指標には現れない「この土地柄だからあなたに向いている」「たしかに現状のBTCFは少ないが、新サービスでの開業は可能」といった提案ができるのがプロです。忙しい皆さんが一生懸命ノートに書き込んで計算するべきではありません。
指標の理解はそこそこで結構ですから、あとはその指標を使って説明する不動産業者の提案の中身を吟味してください。