迷える社員には、自立型社員を「理想像」として提示
会社に雇われて働く人には、常に「だれのために働いているのか」「何のために働いているのか」という悩みがある。働く理由が常に「自分の天職を全うするため」といいきれればいいのだが、若いうちからそんなふうに思える人は少ない。だからどうしても、こうした問いの前で、自問自答することになる。
こうした「迷える社員たち」に対して経営者ができることは、こんな社員になってほしいという理想像を示してやることだろう。
先に発展する中小企業と堕落・倒産する中小企業の「社風」を自力本願と他力本願という言葉で説明したが、中小企業を発展させていくために経営者がぜひ育てたいタイプの社員と、けっして存在を許してはいけないタイプの社員がいる。
前者が自立型社員であり、後者が非自立型社員だ。
経営者が育成したい「自立型社員」の具体的な特徴は?
簡単にいえば自立型社員とは、自分のために働いているが、それがそのまま会社のためにもなっていて、上司や部下のためにもなっている社員のことだ。
自立型社員の根底には常に自信と安心があるから、発想は常にプラスの方向を向いている。そしてベテランになればなるほど頭が低くなり、同僚や部下にも優しく声をかけ、間違っている点があれば勇気をもって指摘する。だから顧客からは信用され、社内からは信頼を集めることができ、それがさらなる成績アップにつながる。
まさに自力本願を地でいくようなのが自立型社員なのである。
そして経営者から見てもっとも重要な点は、自立型社員は与えられた役割の意味を自分で判断して実行し、その結果に対して自分自身で責任をとることができるという点だ。